2007年4月13日

ウルフキラーのセットアップ

ウルフキラーの作用の原理とセットアップについて、少し整理がついて来たように思うので書いてみたい。原理については仮説の部分もあり、話半分に聞いていただいて、主にセットアップ方法についてクリアにして行きたい。

ウルフは、楽器本体のモードと弾いている音の共振(共鳴?)によって起こる。2者の間での共振であるので、互いにうなりを生じたり、振動が抑制されたりする。ここに「同じ共振周波数を持つ第3者を参加させることによってウルフを低減する」のが筆者が最近考えるウルフキラーの原理である。音叉2つで行う共鳴の実験は良く目にするが、音叉3つではどうだろうか?事例をご存知の方はお教え頂ければ幸いである。

ともかく、それならば、ウルフキラーのセットアップとは、ウルフキラーをウルフの音程で振動するようチューニングすることだ。ウルフキラーの共振周波数(以降ウルフキラーのピッチと言う)はウルフキラーの位置を変えると変化する。ウルフキラーを端に寄せるほどこのピッチは高くなる。ウルフキラーを移動させてチューニングするわけである。

通常言われているセットアップは、ウルフキラーを ウルフが最も弱まる位置に合わせる、すなわち、

1)ウルフキラーのピッチをウルフの音程にピッタリあわせる

で終わりなのだが、他の音に影響したりウルフのピッチに近い音がダークになったりと、不満が出てくることが多い。そこで、

2)ウルフキラーのピッチを、ウルフの音程からほんの少しだけずらす

事を是非試していただきたい。問題が解決するとは限らないが、試す価値はあると思う。

この時、ウルフキラーのピッチがウルフの音程より高くなるようにずらすのか低くなるほうにずらすのか2通り選べるわけで、どちらかより良い方を選択する。ずらす距離は、かなり微妙と考えていただいて良いと思う。 1)の作業を終えた時にウルフキラーが端に寄っている場合ほど、ずらす距離に対する反応はシビアになる。

2通りだけなの?と言うと、もうお気づきの方もおられると思うが、実は選択肢はまだある。1)の作業を行った時に、ウルフキラーの位置が駒かテールピースのどちらか側に寄っていることが多い。もしそうなら、今ついている側の反対の端に寄せても同じ音にチューニングできるのだ。つまり、1)の状態を実現するのに、駒寄りかテールピース寄りかどちらか選べるということだ。
駒寄りしか試した事の無い方は、テールピース寄りも調べてみる事をお勧めする。ウルフキラーが弦の糸の巻き線上に来て、ずらしにくい事があるが、その場合には、一旦ウルフキラーを外し、ゴムの部分だけを先に付けてから、本体を付けなおしてみて欲しい。

結局、ウルフキラーのセットアップには、

1)ウルフキラーのピッチを駒寄りかテールピース寄りかで、ウルフの音程にピッタリあわせる
2)ウルフキラーのピッチを、ウルフの音程からほんの少しだけ高い方か低い方にずらす

の組み合わせで4通りの選択肢があるということになる。4通りの中からベストを選ぶという方針で作業を進めれば、「なんだか良く分からないけど、ベストな位置を探す」よりは、良い位置が発見しやすくなるのではなかろうか。

最後に蛇足だが、通常はA線の駒とテールピースの間に付けることから始めて、ウルフトーンにチューニングできない場合に、他の弦を試す方向で良いと思う。標準的なウルフキラーの重さは、大体そういう前提に合わせてあるようである。

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