2007年4月26日

木材など

木材は年数を経ると、強度が上がる。

表板に使われているトウヒやスプルースについては分からないが、同じ針葉樹のヒノキについては、「法隆寺を支えた木」(西岡常一、小原二郎, NHKブックス318)に記述がある。ヒノキは、200年くらいの間は強度が増えて、3割ほども強度が増すそうである。その後は徐々に強度は低下して行く。1300年経った現在の法隆寺の強度は、創建時と同程度になっているという。

木の強度が増えるのは、セルロースが結晶化するためで、このため弦楽器では、時代を経たものが製作時より良く鳴るという事が起こる。この、結晶化のピークは樹種によって異なるようで、広葉樹のケヤキは、新材の時は、ヒノキより強度があるが、このピークが無く、強度の下がり方も急であるということだ。従って、ケヤキは、400~500年ぐらい経過した頃ヒノキの強度に抜かれてしまう。

弦楽器は、表板がトウヒやスプルースなどの針葉樹で、裏板がカエデやメープルなどの広葉樹だ。
ヒノキとケヤキとは樹種が違うので、同様に扱うのは危険かもしれないが、数百年というオーダーは一般に言われている弦楽器の寿命と近い様に思う。

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