2007年5月18日

膠(ニカワ)

コントラバスに限らず、弦楽器は木の細工の最たる物のひとつと言える。
しかし、指物などの技法と最も違うのは、凝った仕口が無いことではなかろうか。仕口とは、木と木を接合する方法の事で、指物にはさまざまな組み合わせ方がある。

弦楽器の場合は、殆どのパーツがニカワによって張り合わされている。平らな面同士を接着するのも仕口の1つと言えばそうだが、仕口らしいものは、ネックと本体の接合部分に、日本で言う「蟻」や「追い入れ」が用いられているくらいだ。 つまり、弦楽器は主にシンプルな接着によって作られている。何故、もっと強度が高く接着面積が広がるような仕口を使わないのか疑問に思っていた。

弦楽器の接着には、ニカワが用いられる。ご存知の通り、ニカワは、硬化後であっても温度や水分で元に戻る。この特性が弦楽器の修理を可能にしている事は良く知られている。考えれば、剥がす事が前提であれば、接着部分はなるべく剥がしやすくシンプルなものの方が良いに決まっている。入り組んだ複雑な仕口では、パーツを傷つけずに剥がすのは難しくなる。

ネック部分に仕口が用いられている場合があるのは、強度の問題があるのであろう。それに、ネック自体は消耗品(もちろんスクロール部分は違う)だから、外す時には本体側が傷つかなければ良いのだ。

0 件のコメント: