2007年5月20日

また膠(ニカワ)

弦楽器はニカワによる接着というシンプルな接合で成り立っている。だからこそ(?)、ニカワの使い方自体に、さまざまな配慮がなされている。

その第一は濃度であろう。ご存知の通り、表板の接着には薄められたニカワ液が用いられる。薄めて接着強度を下げることで、表板を開けるメンテナンスを容易にし、「割れる前に剥がれる」という表板の保護機能まで持たせている。

その逆に、あまり剥がす機会の少ない、裏板や指板の接着には濃いニカワ液が用いられる。濃度をさまざまに調整することによって、場所毎の接着強度を調整しているのだ。また、ニカワは固まった後でも、温水を使って素材を痛めることなく完全に取り除ける。さらに、接着強度自体も、現代の接着剤と比べても強力な部類である。

通常ニカワは、粒子状やフレーク状のものから棒状のものまで、固形物の形で保存され、使用する前に水につけてから温度を上げ、溶かして使用する。一旦溶かしてしまうと、接着強度はフレッシュなものの方が強い。そのまま放置すれば、もちろん腐ってしまう。

朝ニカワ液を作れば、その日1日中は快適に作業できるだろう。次の日には、接着の信頼度は少し落ちるかもしれない。さらに翌日以降は、季節にもよるが、換気扇がないと辛いかもしれない。

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