2007年6月12日

モード・チューニング(モード・マッチング)4

モード・チューニングにはどのような効果があるだろうか。
通常は、音量が大きくなることと、弾きやすくなることが期待される。弾きやすくなると言うのは、弓で弾いた時に「固い」「抵抗してくる」感じが減るという理解で良いと思う。

ただし、モード・チューニングは、全てのセットアップの最後に行う事が必要だ。先に書いた楽器の共振モードは、使用する弦の種類や弦高、指板の重さや長さ等によって変化するからである。上ナットや指板、そして駒と魂柱等をしかるべくセットアップした後でなければ、モードを一致させる意味がなくなってしまう。モード・チューニングは万能の魔法ではなく、他の全てのセットアップの最後に行う仕上げのセットアップだ。ケーキのイチゴだ。

また、楽器のセットアップはお近くの専門家に相談なさることを強く推奨する。先に紹介したモード・チューニングでは、テールガットの長さを調整するために全ての弦を取り去ると、魂柱が倒れる可能性が高い。ましてや、梅雨どきは相対的に魂柱が短くなる季節だから、殆どの場合は魂柱を一旦外す必要があるのではなかろうか。

例えば、楽器を仰向けに寝かせて、そっと弦と駒を取り外し、魂柱が倒れなかった場合でも、魂柱と表板の間が開いた状態で立っているだけの事もある。この時、少しでも揺らせば倒れてしまうし、倒れずに再度駒を立てて弦を張れたとしても、魂柱が表板の元の位置に再び接する保証はどこにも無い。

必要以上に楽器を神格化し、触れば祟りがあるかのように考える必要は無いと思うが、車のブレーキだってやはり中身を良く知っている人に見て欲しいのである。

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