2007年6月23日

楽器の中心で駒を立てる

コントラバスは普段は、ソフトケースに入れて運んでいる場合が多い。
ソフトケースは、大抵の場合楽器を保護してくれるが、駒付近をヒットした場合には、楽器に損傷は無くても、駒が左右方向にずれることがある。
ずれた駒を元に戻す時、楽器の中心にしたい訳だが、楽器の中心とはどこだろうか。

表板が2枚接ぎの場合には、接ぎ面も参考になるかもしれない。しかし、コントラバスの場合、接ぎ面常に楽器のセンターとは限らないようである。
もっともオーソドックスなのは、f孔の内側のノッチを基準にするやり方だ。駒が正確に出来ているとして、内側のノッチから駒の足の外側までを左右等距離にすれば良い訳である。

しかし、その位置に合わせた時に、「どうも弦と指板の位置関係がずれている」ような気がしてきたら、悩みの始まりである。楽器の製作者は、充分に注意してf孔を製作していると思うので、筆者はf孔のノッチを優先したい気持ちは有るが、ずれる前の位置が別であったのなら、今の演奏者に合わせて、そちらも検討したい。元の駒足の跡が明確ならそれを参考に出来るが、そうでない場合も有る。
左右のf孔の上端どうしと、下端どうしを結んだ線を引き、その中点を基準にセンターを決めるやりかたもあるようだ。

駒を作る時には、駒足を楽器のセンターに合わせてから、弦と指板の相対位置を調整していくと思うので、本当なら悩みは無いはずなのだが、そうでないことも実際には良くある。しかし、標準的な配置と違うからと言って、間違いだと決め付ける事は出来ない。駒の製作者が試行錯誤して得た位置かも知れないからである。
さらに、センターの位置と指板と弦の関係だけでなく、バスバー側の駒足の位置がバスバーに合っていないとなると、さらに迷う要素は増える・・・。

駒がずれる前の楽器が調子良かった場合には、その状態が、楽器(と演奏者)に合ったセットアップだったと仮定して、まずはそこに戻すように色々やってみるしかないようだ。駒がずれるというアクシデントに備えて、楽器の調子が良い時には、f孔の内側のノッチを基準として、駒の位置を記録しておくことをお勧めしたい。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは、初めておじゃましました。木工素人でなんとかコントラバスを自作しようとしている者です。
ざっと拝見させていただきましたが、いやー凄い勉強になります。何も知らないで作ろうとしている自分が恥ずかしくなります。
プロで修理などされているのでしょうか?
これからはこまめに拝見しに来ます。

yamaguchi さんのコメント...

最近の自分。さんコメントありがとうございます。
コントラバスを自作されているという話は初めてです。最近の自分。さんのブログを拝見して感激しました。大変なエネルギーと情熱です。応援していますので、ケガだけはくれぐれもお気をつけ下さい。
私の方は、楽器の修理は必要に迫られて副業でやっている感じです。ブログには、自分でやった事や考えをメモとして書いていますが、勉強になるかどうか・・・。楽器のメソッドも色々あると思いますので、話半分でお楽しみ頂ければ嬉しいです。これからも宜しくお願いします。