2007年7月10日

指板の延長


4弦のコントラバスの音域を低い方に広げるのが、low-C extensionだ。先日、指板を駒側に延ばすと言う依頼を受けた。指板の延長は、音域の高い方へのextensionいうことになるかもしれない。

一般的に、木材を繊維方向に繋いで使う事は、できれば避けたい事の一つとされている(但、建築では普通に行われる)。木口同士の接合は強度が出にくいからだ。指板を延長する場合、何百キロの重さがかかるわけではないから、接着のみでまず問題無いとは思っても、作る方としては、何らかの手段で補強した方が安心である。スチールの棒を入れる場合もあるようだし、どのような構造かは分からないが、ボルトで補強する例もあるそうだ。とにかく、補強が入っていれば、少なくともいきなり取れて落下する事は避けられると思う。補強部分が粘るから、完全に取れる前に何らかの前触れがあるはずだからである。

筆者の場合は黒檀のダボを自作して補強材とした。「”ダボ接ぎ”って、やってはいけない例のような響きがする」としきりに妻は言っていたが、それは誤解だ。語感で判断しないでもらいたいものである。木質のダボの強度は、スチールやボルトほどは無いかもしれないが、必要な強度は備えており、サビの心配が無い上に、同質のものの接着はやりやすく、将来もし又短くしたくなった場合にはそのまま加工できるという利点が有る。
もちろん延長部分のキャンバー(指板の反り)はオリジナル部分に倣ってつけなくてはならない。もう一つ言えば、指板を伸ばすには、指板全体を長いものに取りかえる方法もある。

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