2007年7月19日

カビ

梅雨時は湿度も高く、楽器には辛い季節である。
2週間も降り続き、湿度が80%の日が続くとカビのリスクが高まる。

それでも、毎日楽器を弾き、綺麗な布で拭いてからケースにしまえば、カビが問題となる事は少ない。だから、毎日楽器を弾くのが最も有効なカビ対策である。しかし、演奏を本業としていなければ、たまには3日くらい弾かない時だってある。

もしカビが生えてしまったら、とにかく早めに楽器店に持ち込むのが最も安全と思うが、そうも行かない場合には、自分で拭くしかない。しかし、楽器に塩素系のカビ取り剤の使用は危険である。漂白力が強いため、取り返しのつかないことになるかもしれない。

エタノールなどのアルコール類も、注意が必要だ。アルコールがニスに付くとニスを溶かす恐れがある。ただ溶けるだけでなく、湿度が高い状態では、再び固まる時に白化する危険性がある。また、アルコールが、ニカワで接着されている部分に染み込むと、ニカワを脆くし接着強度を失わせる可能性がある。

自分でカビを拭き取る場合には(くれぐれも慎重に行っていただきたいが)水にぬらして固く絞った布でそっと拭きとり、直ぐに乾いた布で乾拭きする位ではなかろうか。この時の固く絞った布の水分は、勿論、楽器表面を濡らすのが目的ではなく、カビを分散させないよう吸着するための最小限の水分である。塗り広げないよう、そっと拭き取ってほしい。

指板の表面など、ニスの無い部分であっても、アルコールを使う場合には注意する必要がある。誤ってアルコールを垂らしたりしないよう、布にアルコールを染み込ませる場合には、楽器の上以外の所で行い、アルコールを染み込ませたら、一旦別の布に押しつけて余分なアルコールを取り除いてから、指板を拭く方が安全である。もし、指板が黒檀製で無く塗り指板の場合には、アルコールは避けた方が無難だと思う。

幸いな事に、カビは楽器の木材ではなく、楽器表面についた手垢などの汚れに、最初に生えるので対処が早ければ、楽器本体を傷めずに済む。裏を返せば、綺麗に維持されている楽器には、カビは生えにくいということでもある。

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