2008年1月22日

表板の割れ


膠による接着では、接着面を圧締する事が必要だ。

しかし、圧締しやすい場所ばかりとは限らないし、割れの程度によっては、将来、表板を開ける時に本格的な補修をする事にして、膠を流す程度で済ますこともある。この様な場合でも、接着面の目違いが無い様に、することが重要と思う。

写真で斜めにかかっているクランプは、割れを圧締する目的よりは、むしろ、目違いをなくすためのクサビを保持するためにかけている。クサビの下には紙片を入れて、万一クサビに膠がついてしまった場合でも、クサビが楽器に付かないようにする。接着後、ニスのタッチアップをした。

表板に限らず、割れには進行する性質がある。全ての割れが進行するとは限らないが、割れが発生したら、できるだけ早く修理する事が望ましい。表板の割れでは、意外な割れがノイズの原因となっていたりするが、あまり音に影響しない割れには気づかない事もある。定期的なチェックを専門家に依頼するのも良いと思うし、何より、時にはしげしげと自分の楽器を見ることが有効なのではないだろうか。

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