2008年3月23日

コントラバス特有

あるコントラバスのリペアラーが、ヨーロッパから来たヴァイオリン製作学校の先生をもてなした時、「チェロが修理できればコントラバスも修理できる」と(気さくに)話しかけられたそうである。そのリペアラーが、それは間違いであって、コントラバスには特有の扱いが必要なのだ、と反論すると、その先生からは、火星人を見るような目で見られたということだ。

もちろん、同じような素材と構造なのだから、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロの修理と共通する事は多いはずである。そのリペアラーは、ヴァイオリンなどと共通の事柄も多いと認めた上で、(ヴァイオリンと比べて)相対的に高いテンション、相対的に薄いパーツ、材料の季節変動など、その大きさゆえ、ヴァイオリンでは問題の無いメソッドがコントラバスでは時に問題になることがあるといっている。

それほど本質的な話でなくとも、例えば、駒の高さを変えるアジャスターやCエクステンション(Cマシン)などは、コントラバス特有の話と言えるのではなかろうか。その他には、チューニングマシン(糸巻き)やフラットバックなどにも特有の要素があるかもしれない。チューニングマシンは、殆どの場合、木ネジを使って取りつけられている。この木ネジもまた、他の弦楽器には用いられていないコントラバス特有の要素ではなかろうか。木ネジ一つとっても、使いこなすにはそれなりの技量が必要だからである。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして、大変興味深い内容のブログですね。いつも拝見しております。

私は趣味でコントラバスを弾くのですが、いわゆる地方在住ですので、楽器屋に恵まれませんでした。今では車で4時間ほどのところへ調整に出しています。
以前、隣県のとある楽器屋に調整に出しました。そこは、バイオリン族の調整で一応の定評があるところです。仕上がりを見て唖然としました。5度チューニングになっていたのです。もちろん、それ以来行っていません。

本当は自分で出来れば一番良いかと思いますが、そうもいきません。ただ、コントラバスの調整は木工と言い放つような楽器屋が多く、任せきれない状況でした。今は良いリペアマンと出会えて満足しております。

乱文失礼しました。

yamaguchi さんのコメント...

匿名(Anonymous)さん、はじめまして、ご覧頂き、またコメントを頂きありがとうございます。

5度チューニングとはびっくりです。新たな伝説ですね。弦は傷まなかったのでしょうか。ともかく、今は、良い楽器屋さんに出会われたとの事、おめでとうございます。

「コントラバスの調整が木工」とは言いますね。コントラバスにも木工にも失礼です。木工もピンキリだとは思いますが、木工を本業とする立場から言わせていただければ、木工の加工精度を甘く見た発言です。

おっしゃる通り、楽しみで行うなら別ですが、要求される加工精度からみて、楽器の調整をDIYで行うのは、よっぽど気合を入れないと難しいと思います。例えて言えば、長さの0.1mmは、一見それほど大きな量には見えませんが、隙間の0.1mmは簡単に認識できるくらい大きな量となります。そんな事を(楽しみでなく)追求するなら、楽器を練習する時間の方が惜しいのではないでしょうか。

思わず筆が走りましたが、興味深いお話をありがとうございました。また、お時間有りましたらコメントお寄せ下さい。よろしくお願いします。

匿名 さんのコメント...

はじめまして!関西~四国辺りをジャズメインでうろついてます。よろしくお願いします。
コントラバスの五度チューニング(チェロのオクターブ下と同じ)は余りポピュラーではありませんが、クラシックのプロ等一部で、なさっておられるかた(高山サン?)もいます。
楽器は小振りで弦長は短め(100センチ弱?)で座奏メインの弓はフレンチ?
奏法や考え方はちょうどコントラチェロ?的な感じの様です

ご紹介迄、失礼しました。

yamaguchi さんのコメント...

モリ@ベースさんコメントありがとうございます。

以前私も5度調弦の方とご一緒する機会があったのですが、隣の弦までのシフトが増える分早いパッセージは弾きにくくなるようでした。

その方はチェロも演奏なさるので、その関係もあるとのことでしたが、ご紹介頂いたように、楽器自体がよりチェロに近いコンセプトになっているというのが納得いくような気がします。最近では、弦も5度調弦用が市販されているようですが、Red Mitchell Tuningと称されているので、5度調弦はJazzが発祥なのだろうか?と思ったりしています。

前のコメントの、きゃっつさんの場合は、通常の弦なのに楽器店で勝手に5度にされてしまった訳ですが、5度つながりということで情報をご紹介くださりありがとうございます。
こちらこそ、これからも宜しくお願いします。

匿名 さんのコメント...

ジャズマスター故レッドミッチェル氏は、結構早い時期~五度チューニングで演奏していた様です。弦はスピロコア?
氏の楽器はヴィンテージの通常サイズ、弦長だったやに聞いています。(^_^;)ガタイがデカイのでOKだったのかも?
通常の四弦でエクステンション無しでコントラCが欲しかったそうで、結果、五度チューニングになった様です。また、練習はかなりし直したと、インタビュー記事を見ましたが。
高いレベルで個性や独創性が求められるジャズの現場ではある意味、必然だったのかも知れません。
コントラバスも歴史的には三弦の時代は5度チューニングの時期は長かった様ですね(^_^;)
五度のチューニングは⇒コントラC(H)、ソロ弦Fs(ライトテンションが有ればベター)を半音上げ、又はオケA線ヘビー弦を全音下げてG、D弦は通常オケ弦、Aはソロ弦。
←こんなセッティングではないでせうか(^_^;)結局三弦を工夫すれば、既製品の弦で対応出来ますね。(割高ですが)
弦の糸道は修正が必要でせうね

yamaguchi さんのコメント...

モリ@ベースさんコメントありがとうございます。

なるほどそういう由来だったのですね。調弦ですら未だに試行錯誤されていると言うのは面白いことですね。詳しい情報をありがとうございました。これからもよろしくお願いします。