2008年4月6日

魂柱は導く

写真は、エンドピンの穴から魂柱を見たところである。
楽器に限らないが、こうやって中を覗く時、「中で暮らしてみたいなあ」と思うことがある。妻は「何を言っているのか全然分からない」と言う。

ともかく、良く作られた魂柱は立てやすい。
もし、魂柱を絶対に動かしてはならないという要求があれば、治具を使って楽器の表板をプレスして作業を行うしかないが、何らかの都合で魂柱を外し、位置を記録しておいた位置に戻すことがある。

この時、入っていた魂柱がいい加減なものだと、まず元あった場所の近くに立てる事すら難しい事がある。さらに微調整の時に回転してしまったり、表板に密着する位置がなかなか見つからなかったりする。修正するにも、魂柱の長さが長いとは限らない。

こうなると、新しく作らない場合には、より良い立て方を探すしかない。木目の方向をずれた状態にしたり、少し斜めに立てる等の妥協点を探る。どちらかと言えば、裏板より表板の方が傷つきやすい事を考えると、表板のフィットを優先する場合が多い。ただ、通常f孔から覗いて良く見えるのは、裏板と接する方の端だから、見た目はあまり宜しくない事になってしまう。

しかるべく加工された魂柱は、すんなりと作業が進むように思う。何の特別なことをする訳でもなく、当たり前のように、勝手に元に戻って行くようである。迷いが無く、フィットも自然だ。この様な時には、前の作業者に対する尊敬の念が生まれるし、そこから学ぶ事も多い。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

これはやはりSさんの魂柱の話でしょうか?

yamaguchi さんのコメント...

教授さん、コメントありがとうございます。

写真の楽器は、例のサドルが飛んだ楽器ですが、魂柱のフィットについて言えば意外にもそれほど悪く有りませんでした。今回の話は特定の楽器の話という訳では有りません。

魂柱の加工精度も問題ですが、立て方に配慮を欠く楽器も見ました。フィットと立て方のいずれに問題があっても、表板を傷つける結果になると思います。