2008年5月29日

N氏の楽器12---魂柱(つづき)


斜めに立っていたからか、長さに余裕があったため、元の魂柱を削ってフィットした。写真は、鏡に映した表板の裏側である。

元の状態があまり参考にならない場合には、最初に魂柱を立てる位置は、標準的な位置に近い場所が良いのではなかろうか。もっとも何を標準とするかは問題で、色々考え方が有るかもしれない。それに、魂柱は削って調整するから、実際は、想定する位置よりも、楽器のセンターに近い所から始めた方が良いのかもしれない。いずれにしても、奏者の方の好みも有る訳だから、今後さらに調整を詰めて行く上での出発点として、いずれの方向にも調整する余地を残しておいた方が良いのではなかろうか。

フィットしてセットアップして試奏することを繰り返し、これでお渡ししても良いかという感じになってきた。が、何か、もう一息プラスαが欲しい所である。上2本の弦の鳴りは良くなって来ているものの、下2本からすると、今一つ浅い音が有るようにも思える。元の魂柱は、材料としてそれ程悪いという訳では無い。しばらく弾いているうちに、やはり魂柱を変えた方が良いような気がしてきた。もし効果が無くても、元の魂柱に戻せば良いだけである。新しいものに変えてみると、これが正解で、音階の中で引っ込んでいた音が出てきてバランスが良くなった。全体の調整の方向性とも一致したのではないかと思う。いつもこう上手く行くとは限らないと思うが、やってみただけの事はあったわけである。

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