2008年7月7日

魂柱と材料


魂柱調整が楽器の鳴りに影響することは良く認識されていると思う。調整だけでなく魂柱自体のクオリティもまた、楽器の音に大きく影響すると思う。

魂柱のストックが無くなったので、当然の様に以前注文したところから取り寄せた。すると以前のものとは似ても似つかぬ物が送られてきた。魂柱の形自体に違いがあるわけではなく、使われている材料の問題である。以前の物がとても良くて気に入っていたので、魂柱の入手に不安を感じていなかったのだが、販売者自体は材質に対する自覚が無いようで、以前のロットは偶然に良かっただけのようである。いずれにしても届いたものは使う気にならないので、2,3別の所からも取り寄せてみたが、結果は芳しくなかった。同じ様にセットアップしても、材料のクオリティ次第で結果が大きく違うのに、納得できる訳が無い。これらの魂柱は、何種類かの長さに切って、長さのテスト用に使うとしよう。

話を元に戻すと、問題は年輪の密度(用語が正しくないかもしれない)や繊維の通り具合である。さらに樹種による強度の違いもある。後は、これは筆者の勝手な感覚だけれども、木口を削った時にしっとりと削れる感じのものが好きである。しっとりと言っても、含水率が高いわけではない。まあ「しっとり」は筆者の勝手な感じなので、あまりあてにはならないかもしれない。含水率も重要である。個人的には、気乾含水率の低い地方で天然乾燥されたものを、シーズニングして使うのが安定度が高まるので良いような気がする。室内で乾燥させたものであれば気乾含水率はあまり関係無いかもしれないが。ともかく、魂柱のようにシンプルなものは素材が良くなければどうしようもない。結局、当たり前の話かもしれないが、スプルースの中でも音速が早く、強度の高い材料を買って、自分で作ることにした。もっともらしい話のようだが、簡単に言えば、ヴァイオリンの表板用の材料を買うというだけの事である。完璧とは行かないかもしれないが、ヴァイオリンの表板ならば、ある程度年輪の密度などを指定したり、樹種を選ぶ事が出来るし、繊維方向のズレなども最小限に抑えられるからである。

特に割ってもらう必要は無いのだが、用途を説明しておいたので、割材の形で送ってくれた。うがった見方をすれば、先方としてもこの方が表板にならない端材がはけて嬉しいのではなかろうか。割ってあると繊維方向が分かりやすいし、それぞれバラバラで共木では無いようだから、こちらとしても選択の巾が増えて有難いというものだ。セットアップするのが楽しみである。

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