2008年10月15日

サドルのベッド


コントラバスの場合、サドル周辺は楽器の下側に来るので、問題があっても目に付かないことがある。

サドルが浮いて、駒側に倒れてきているような場合は、表板を傷つける可能性がある。写真の楽器では、サドルに浮きは無かったので、サドル自体には問題無いものと考えていたが、リブとブロック間に剥がれがあり、サドルを一旦外す事にした。

この楽器では、サドルの下のリブが掘りこまれ、黒檀のスペーサ―が入っていた。以前サドルが、めり込む様なトラブルが有って補修されたのではなかろうか。このスペーサ―が有ったために、サドルの入る切り欠きは階段状になっている。しかし、この階段部分がデコボコで、サドルやスペーサ―が密着していない。ニカワが隙間を埋めているようではあまり良い状態とは言えない。古いニカワなどを掃除して、階段部分を整形し、スペーサ―を作りなおした。階段部分はエンドブロックなので手を加えたが、リブや表板は、現状があまり綺麗でなくても削らず、綺麗に洗うだけで、サドルやスーペーサーの方を削って合わせる。スペーサ―を削り合わせた後、ブロックのデコボコを埋めて、サドルをフィットした。

ところで、表板の断面に見える黒い部分は、以前のオープンリペアの時のピンの穴の跡のようにも見える。もしそうだとすると、以前のサドルはもっと小さかったのかもしれない。今のサドルのの大きさは通常の大きさに近いから、ピンの跡が本当だとすると、最初のサドルは、かなり小さかったことになる。例えばパフリングのあたりまでのサドルなら、見た目もすっきりしてとてもお洒落だっただろう。しかし、サドルが小さ過ぎれば、ブロックにかかる力が集中し、トラブルにつながる可能性もある。ひょっとすると、ガット弦の時代にはそれで十分に耐える構造だったのかもしれない。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

再調整ありがとうございました.
今回の修正により私の望んでいる音の
イメージに近づきました.

特にオクターブの共鳴と裏板への振動が
かなり改善されました.

ハーフポジションの違和感も無くなり
ました.今後ともよろしくお願いします.

yamaguchi さんのコメント...

教授さんコメントありがとうございます。

駒足のグリップの変化は私にとっても初めてでした。きっかけは偶然にしても、結果が良くなって良かったと思います。

石釜ピザは美味でしたね。出無精なので、良いきっかけを頂いています。こちらこそ宜しくお願いします。