2008年10月26日

裏板のセンターシーム


裏板の中央の接ぎ面が剥がれる事がある。

しかし、その場合でもノイズが出ないと、気づかれない事も有る。剥がれが徐々に進んだ場合は特にそうかもしれない。写真の楽器は、裏板のセンターにインレイが入っていて、その部分から剥がれが起こっていた。

センターのインレイは、裏板の縮んだ分を補うために入れられる。このケースでは、裏板自体に破損が無く、接ぎが剥がれている所とインレイに亀裂が入っている所が混在している状態だった。裏板に破損が無かったのは、とても良かった。インレイの材質は紫檀の様だが、将来の破損をインレイ内で起こさせるような配慮がされていた可能性はあるだろうか。だとしたら凄い事だが、インレイ内側のパッチのヘビーさから見ると、そうでもないようにも見える。

内部のクロスバーの中央部分との間にも剥がれがあり、裏板の接ぎも含めて本当に直そうと思えばオープンリペアになるのかもしれない。しかし、その他の部分のコンディションは悪くないようなので、応急的な外からの処置で様子を見る事にした。簡単に言えば、ニカワで着けるということになる。まずは、開いた部分を出来るだけクリーニングし、ニカワで固定する。写真では、締め付けて継ぎ目を合わせているように見えるが、実際は、継ぎ目に段差が出ない様にクサビを押さえているだけである。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

写真を見るとドキドキしますね.
次回は開けちゃってください...

その後楽器は快調です.響きとしては
ロンドンから持ち帰ったときのそれに
近づいたと思います.

ニュートラルな調整というのが功を奏した
のかもしれません.今後ともどうぞ
よろしく.

yamaguchi さんのコメント...

匿名さん(教授さん?)コメントありがとうございます。

快調のようでなによりです。これからのシーズンが楽しみですね。おっしゃるように、魂柱の位置や駒の調整などが最初から偏っていると、楽器自体の個性や能力的な事が見えにくくなると言う事はあると思います。

例外もあると思いますので、良い状態を探す手間を惜しんではいけないと思いますが、標準的な状態から出発するのは悪くない考えではないでしょうか。こちらこそ今後とも宜しくお願いします。