2009年6月5日

False Nut

FalseにNutとは、散々な言われよう・・・という訳ではなく、コントラバスの場合には時折使われる手法のようである。

False nutの目的は弦長を短くする事で、指板のスクロール側を短くし、その分ナットを長くして補う。弦長を短くする方にしか調整はできないが、駒の位置を動かさないので、駒の位置を適正に保って、ネックの操作無しに、弦長を調整できる訳である。

このイタリアンは、弦長を短くした度合いは大きくないが、スクロールチークの角の位置を見れば、写真でも指板が詰められているのが分かると思う。今回は、新たに指板を詰める事はせず、もともとついていたFalse nutを、弦間隔を適正にするために新しく作りなおした。

チューニングマシンの話に関連して、スクロール全体の写真も追加した。ナットが着いていない状態なのでFalse Nutで短くされた指板の様子も見える。きゃっつさんご覧ください。

4 件のコメント:

きゃっつ さんのコメント...

気を使っていただきありがとうございます。
うーん、やはり美しいですね。
個人的には今後ちょっとくすんできたあたりが好みかもしれません。
こういったスタイルの良いヘッドもいいですね。

False nut はじめて聞きました。
たしかに駒を動かして弦長を調整するよりはよさそうですね。あきらかにおかしい位置に駒が立っている楽器をたま見かけます。
問題はポジショニングですかね。
やはり駒方向に弦長を詰めると相対的にポジションが移動してしまい、4thポジション?あたりが弾き難くなりそうな気がします。

コントラバスに王道(横道)無し!ですかね。。。

yamaguchi さんのコメント...

きゃっつさんコメントありがとうございます。真鍮なので、光り具合は落ち着いてくると思います。

ところで、おっしゃるとおり、弦長を変える目的で駒を動かすというのは、あまり宜しくないように思います。楽器によっては、駒の位置にかなりシビアに反応することがありますので、私の場合は、駒の位置は、弦長ではなく、音を基準に決めています。

弦長を変えるには、ネックを短くする方法がありますが、False nutは簡易的な方法と言えるのではないかと思います。

False nutによって、ポジションが変わるのは確かです。逆に言えば、False nutを使って、ポジションが正しい位置になるように調整できるということになります。

ですので、False nutの役割は、「弦長を短くする」というよりは、「ネックの長さを短くする」と言った方が正確かも知れません。

Bass爺 さんのコメント...

貴殿の文章にはわしの知らない英単語がよく出てくる。わしは英語がからっきし苦手で、貴ノートを読むときには英和辞典がかかせない。いやなに、DR.MORTON'S DOUBLE BASS TECHNIQUE : CONCEPTS and IDEAS をときおり繙くので、いつもそばに置いてあるというだけなんじゃが……。

それはさておき、ナットの長さが伸びた分だけ、弦に接する長さも伸びることになる。写真を見ても弦がぴったりとナットに密着して実に気持ちよさそうである。しかし最近見た Bass Shop の楽器の中に、明らかにペグボックス寄りを削り込んで、弦に接する長さを短くしたものがいくつかあった。中にはG線側に向かって狭くなっているものもあった。

ペグボックスの中では弦が錯綜しないのが理想と思うが、どうしても弦と弦が接触するのを避けられないこともある。ペグボックスの中に余分な振動を持ち込んで雑音の発生源とならないためにも、ナットの長さ分は密着していた方がよいとわしは思うが、先にあげた例のように、ナットに接する長さを短くした方が弦の振動を妨げなくて、楽器の鳴りがよくなるという立場もあるのであろうか? 

ナットの問題だけに、納得のいくお答えがいただければ幸いです。それとも(将棋の世界には「名人に定跡なし」という言葉があるが)名 Luthier にも定跡なし、なのでしょうか?

yamaguchi さんのコメント...

Bass爺さんコメントありがとうございます。私自身英語がそれほど得意と言う訳ではないのですが、正しい日本語の名称が分からない事があります。

ナットに弦が接する長さを短くした方が良いかという事については、分かりません。E線とA線のペグを入れ替えるだけでも、鳴りに影響があるという噂もある位ですから、何らかの効果があるのかもしれないとは思います。

私の場合は、通常、弦のあたる長さが10mm~12mm位の範囲になるようにナットを作ることが多いです。ただ、楽器によってナットのスペースの大きさが様々なので、楽器に応じて作ります。楽器の製作者は、意図を持ってナットスペースの大きさを決めていると思うので、基本的には、それに従うというスタンスです。

一つ言えるのは、ナットの長さには限界があるということです。今回のFalse nutを長くしていくと最終的には、弦がナットの上で暴れてノイズを出すことになります。ナットが長くなると、広い面積でテンションを受けるので、長さあたりのテンションが減り、ナットが長すぎれば、最終的に弦を保持する力が足りなくなるという事だと思います。もちろん今回の長さ位では全く問題にはなりません。

結局分かりません、ではナットく頂けないかもしれませんが、実際の比較を行った事が無いので、申し上げる事があまりありません。もし、改善された例をご存知でしたら、こちらが教えを請う立場になると思います。