2009年6月10日

アジャスター(Fishman Full Circle)


今回のアジャスターは、FishimanのFull Circleだが、以前拝見した物と世代が違うようで、ピエゾの入っている側がネジ止めに変わっていた。

オーナーの方の話では、アジャスターのケーブルの付け根が切れやすいのだそうで、ネジ止めにすることによって、修理が容易にできるようにしたのではないかということであった。たまたま見た分解写真では、中には小さな素子が4つ四角く並んでいた。アジャスターは第一義的には弦高を変えるのが役目だが、ピックアップとして動作する時には、アジャスター1/8回転の範囲で回すことによって、4つのピエゾの駒の脚の断面に対する位置関係を変え、音色の調整ができるということである。

アジャスターが音に与える影響については、色々言われている。一つの材料から切り出されている駒を、途中で切って異質の材料を介して再び繋ぐ訳だから、直感的には音が変わって当然と思える。しかし、少なくとも筆者の取り付けた範囲では、ほとんど影響が無いと言えるのではないかと思う。アジャスターをつける場合には、つける前後で必ず同じセットアップにして比較するので、それほど的外れではないと思う。駒を新しく作る時も、必ずアジャスターなしでフィットし、駒を仕上げて試奏した後にアジャスターを入れている。
もちろん、客観的な実験を行ったわけではないので、影響が全くのゼロであると断定することはできないが、ブラインドで弾き比べた時に聞き分けられるかどうかは難しいのではなかろうか。
このことは当然のことながら、アジャスターが正しく取り付けられているという前提の話である。軸の方向や、アジャスターの上面と駒の密着度などは、細かいけれども本質的なことで、通常の駒にとってもそうだが、今回のような内蔵されたピエゾにとっても重要な役割を果たすようである。

11 件のコメント:

るいだ さんのコメント...

こんにちは
以前ご覧になられたであろうFull Circleの持ち主でございます
私のは確かにケーブルが出ている部分以外はそうたやすくは分解できないような雰囲気でしたので、現在もケーブルのねじれには一番気を使います。
駒を加工して適性に取り付け直していただいたおかげで、なんと調弦したままでも軽くアジャスターが回ります。トラブルは今のところありません。
書かれていたようにアジャスター内部の構造までは判りませんのでもしピエゾ素子の位置関係で出力信号の音色の部分が変化するならば…むう
現在までにはっきりと判る音色の変化を感じたことはないです。
現行バージョンのFull circleも大変興味ありますね…もしどこかでお目にかかれたら是非試奏させていただきたいものです。

モリ@ベース さんのコメント...

駒アジャスター一体型では山彦がやはり一日の長があり、出力が四カ所、同出力ケーブルが取り外し可能等いろいろとよく考えられていると思います。
F社のブツは山彦のパクリのパチモンとしては簡素で比較的安価でしょうが、残念ながら足許にも及んでいません。
個人的には、駒アジャスター一体型はコントラバスのピックアップとしては、一つの理想型だと思っています。

モリ@ベース さんのコメント...

といいつつ、今は、両脚部分に汎用ピエゾを貼り付けていますが(^^;)
コレがそこそこよい音で使えて結構バカにできません。(主観)
いずれにせよ、ピエゾにはプリアンプは必須アイテムなので常時接続してアンプに送っています。
アジャスターは最初にブラス製。次にアルミ、現在はジュラルミン製を使っています。
ブラスは重み(低域)はあるが、チョット詰まり気味の音で、弓はまだしもピチカートでは中高音域が詰まり気味で鳴りにくいかも?
アルミは木製に近い感じ?ブラスより音量が上がり全域が自然に鳴ります。
ジュラルミン製はアルミと似ています(アルミ合金ナノで)。がより響きが良くなったような・・・・

yamaguchi さんのコメント...

るいださんコメントありがとうございます。
アジャスターが好調で良かったです。きっと大切にあつかっていらっしゃるのだと思います。

確かにケーブルの部分は、加工の時も注意しました。弱そうな部分ではありますが、アジャスターとして見た場合には、重量も重要な要素なので、構造がシンプルという良い面もあるのではないでしょうか。

アジャスターの位置による音色の変化は、どの程度なのかはわからないのですが、るいださんがおっしゃるのですから、かなり微妙なものなのかもしれないですね。ピックアップとしては、ピエゾの面と駒の接地面の加工精度に敏感だという情報があり、その辺はかなり厳密に作業したので、位置による当たりの変化自体が少なくなっているのかも知れません。

私は自分ではピックアップを使わないので、新旧の音の違いに関しては分からないのですが、ふたの部分が剥がれるという事例があったようです。ですのでネジ止めは強化する意味があるのかもしれません。

現行バージョンは、サイズは同じようですので、ネジが同じならレトロフィット出来ます。どこか試させてくれるところがあると良いですね。

yamaguchi さんのコメント...

モリ@ベースさんコメントありがとうございます。

uptonのwebには、"developed by Larry Fishman based on the invention of Kiyohiko Yamaya of Japan"とありますし、おっしゃるように、日本のピックアップがベースとなっているのですね。自分には何の関係もなくても、日本発祥というのはなんとなく誇らしいものです。

Full Circleは、プロの方も使っていらっしゃいますし、アジャスターとしてのクオリティも十分に高いと思います。ピックアップとしても定評があると聞いています。

しかし、上には上があるのは世の常ですし、さらにクオリティを追求したい方もいらっしゃると思います。山彦とFull Circleの音の違いなど使用感をお聞かせくだれば、大変参考になります。ピックアップは悩みの多い所のようで、メーカーのスペックだけでなく、実際の体験からの情報は貴重です。

取り付ける側からは、重量や円盤部分の直径、ネジ部分の規格が気になります。企業秘密(?)の部分もおありかも知れませんが、差し支えない範囲で、またコメント頂ければ幸いです。

アンプを通した音という点では分からないのですが、生音に限って言えば、おっしゃるように、アジャスタータイプのピックアップが影響を与えにくいという事は言えると思います。先日、駒調整に絡んで、FISHMANのBP-100を付けなおす機会があったのですが、生ではピックアップ部分を挟むクリップによるミュート効果は否めませんでした。ただ、ライブハウスで聞かせてもらったところ、アンプを通した音は上から下までバランスのとれた良い音がしていました。使う環境や求める音によって、良い選択というのは違うものだと感じました。

モリ@ベース さんのコメント...

BP100は出回り出した頃から永らく使っていました。
コイツはほぼピチカート専用ですね。弓は・・・・(^^;)
それと、楽器に正直なピックアップで調整が狂っていたりイマイチの楽器では正直にダメな所をデフォルメして、イヤな音しかしません(>_<)が、よい楽器、よい状態では別物のように素晴らしくよい音に鳴ります。
ある時、クリップのミュート効果が気になって、瞬間接着剤(ゼリータイプ?)で貼り付けていました。(ネット情報から)
クリップの重量分が無いためか、ミュート効果も軽減して音量、音質(太く、レンジが広くなる)も良くなります。
瞬間接着剤は案外衝撃には弱いので取り外しも簡単に?可能。
念のため剥離材を使ったほうが安全です
そうこうしているうちに案の定、ピエゾを壊してしまいました。(--;)
応急で、安いギター汎用ピックアップ(グヤトーン)を『低弦側の脚に貼り付け』てしばらく使っていました。
しかしノイズとゲインの問題で、shadowの汎用ワンセンサーに取り替えてノイズとゲインは改善されました。
サウンドはダイナミックマイクで音取りしたような音です。(その直近のライブでライン音を録音したサウンドはマイク採りのようなナチュラルな音に驚きました)
それから、もう少し広域化したくて2センサータイプに変えて、両脚に貼り付けました。(今も)
shadowも貼り付け汎用タイプのベース用を最近発売しています
とにかく安い(一万円も要りません)のにそこそこ使い物になるのは驚きでした。
因みに、自分の貼り付け場所はアジャスターの直上です。(位置でサウンドコントロール可能。)
このブリッジの脚部分に軽量のピックアップ取付のアイデアはヤマヒコさんのホームページやネット他からのパクリ、アレンジですが(^^;)
弓、ピチカート共々良好で理に叶った良い場所のように思います。
メインのピックアップが何かトラブルの際の緊急用にも良いと思います。
>以上はあくまでも僕の主観です。当方免責。もし実施の節は自己責任でお願いします。

メルクリウス さんのコメント...

このタイプのビックアップアジャスターを付けている楽器を見たことありますが、
見た目にもスッキリする代わりに断線の不安を感じるのは私だけじゃないみたいですね。
極端な弦高調整さえ無ければ大丈夫でしょうか。
ところで黄金の左手は大丈夫ですか?
お大事になさってください!

モリ@ベース さんのコメント...

アジャストの際に出力線がネジなどで脱着できて、出力端子の場所も増設されれば良いのですが、
そうなるとヤマヒコの簡略仕様(低弦側のみピエゾ)とモロにバッティングしてしまいますが

yamaguchi さんのコメント...

モリ@ベースさんコメントありがとうございます。

色々な試行錯誤を通じてピックアップを選んで来られた訳ですね。コントラバスは、ピックアップなしの状態で良いコンディションを保つのも大変ですが、ピックアップを選ぶという事にも大変な苦労があるということがしのばれます。

いまは比較的シンプルなピックアップをつかっておられるという事が一つのヒントになるようにも思います。体験に基づく詳しいお話を、どうもありがとうございました。

yamaguchi さんのコメント...

メルクリウスさんコメントありがとうございます。

おっしゃる通り、ケーブルの接合部が弱点になる事は間違いないと思います。しかし、この白いケーブルは(おそらく)同軸状のシールド線で、見た目よりしっかりしています。ここの付け根に負荷がかかるような使い方は、いわば誤った使用法であり、そのような使い方をしなければ、十分な強度があると思います。先にコメントを頂いた、るいださんは、非常にご多忙に活躍中のプレーヤでいらっしゃいますが、今まで問題が起きていないということがそれを示していると思います。

誤ってケーブルに力をかけてしまう事を防ぐという意味でも、アジャスターが正しくインストールされている事が重要になってきます。回すのに余計な力が必要な状態では、ケーブルをヒットする確率が高くなります。Full circleは円盤部分の径が大きめで回しやすい事も良いところだと思います。

ご予約の都合もあっておしらせしましたが、手の事は非常にみっともない事なので、どうぞご内密に・・・。

yamaguchi さんのコメント...

モリ@ベースさんコメントありがとうございます。返事が追いついていませんが・・・

あらためて山彦のサイトを見てきました。アジャスターのサイズなども公開されていますね。以前見たときには、見落としていました。Eddie Gomez氏のサンプル音がかっこいいですね。