2009年9月24日

凸と凹


チューニングマシンの裏側には、出っ張りが有るものもある。

特にチロリアンタイプのマシンでは、薄いプレートに取り付けられているパーツがあるので、その接合部が裏側に出っ張っているものもある。パーツの接合部以外にも、マシンのウォームギア部分が、プレートを超えて裏側に出っ張っている事がある。

この出っ張りに対して、スクロールチークに彫り込みが必要になる。必要以上には彫り込みたくないが、彫り込みが不十分だと、色々不都合が生じる。結果的には、ペグが固くなってチューニングがやりにくくなる事が多い。プレートが浮いて、無理にネジを締めたために歪んだり、ウォームギア部分がスクロールチークに押し付けられて、各部分の動きが悪くなってしまう。

写真では、左が元の彫り込みで、一部黒くなっている所が、マシンと干渉していた所である。右側はプレートの開き部分と、出っ張りの大きさに合わせて彫り込んだ所である。チューニングマシンの不調には、一筋縄ではいかない多くの原因があり、地味だけれども、ちょっとだけ手間のかかる所に隠れている事がある。

8 件のコメント:

るいだ さんのコメント...

まずは連載再開おめでとうございます!
一口に糸巻きとはいえ、様々な仕組み、形があるようですね!裏側の出っ張りなんて演奏者は思いもよらないところです
最近漢字クイズで知ったのですが、
凹凸→おうとつ
凸凹→でこぼこ
だそうですね 全く無関係の事、申し訳ありませんm(__)m
これからも連載楽しみにしております

yamaguchi さんのコメント...

るいださんコメントありがとうございます。
おかげさまで、仕事が再開でき、本当に嬉しいです。

言われてみれば、凹凸と凸凹は面白いですね。漢字検定をお持ちなのでしょうか。でこぼこの方が少しカジュアルな感じを受けます。

糸巻きのトラブルは、バラエティーに富んでいると思います。もともとの構造に問題があるものから、取り付け位置が間違っているだけのものまで、調子が悪い理由を探すだけで時間がかかる事があります。一方で、其々に特徴があって、個性あふれるものでもあると感じます。日々必ず触る部分ですし、持主にとって、愛着の湧く部品の一つではないでしょうか。

ブログも、その時その時の考えを書いているので、内容が凸凹していますが、よろしくお願いします。

るいだ さんのコメント...

コメントありがとうございますm(__)m
そういえば愛機をセットアップいただいたときに糸巻きから異音がするということで調査いただき、結局よく分からない
ワッシャがあった…のを思い出しました

これは先日弦を交換していて感じたのですが、糸巻きを実際に使用する際に弦の巻き方によっては、他の弦や支柱との干渉、スクロールチーク内壁?との干渉などによりペグが凄く重くなることがよくあります。みなさんそれぞれこだわりの弦の巻き方があると思うのですが、推奨される巻き方、順番等はありますか?

yamaguchi さんのコメント...

るいださん、コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、コントラバス/ダブルベースの弦交換は、時間もかかりますし、一筋縄では行かない所があります。おっしゃる通り、

・他の弦やペグとの干渉は可能な限り避ける
・スクロールチークの内側に当たらないようにする

必要があります。スクロールチークの内側に弦が当たると中を傷つけるだけで、良い事はないと思います。個人的には、願わくば、

・ナット上の弦の位置からまっすぐペグ上に位置する

ようにしたいと思っています。チューニングマシンやペグボックスの形によって、適切な弦の巻き方は変わります。どんな楽器にも当てはまる決定打は有りませんが、私が弦を交換する場合の考え方をお話したいと思います。at your own riskでお願いします。

私の場合は、E線→A線→G線→D線の順に一本ずつ変えることが多いです。当該弦を交換する上で邪魔になるようなら、邪魔になる弦を少し緩めて作業します。

他のペグ(の軸)との干渉はどうしようもありません。ペグ上に巻かれた他の弦と干渉しないように、また、巻き終わりの位置がナット上の弦位置に近くなるよう、巻き始めをギアの側にするか反対にするか、巻き自体をどちらに寄せるかを決めます。

ペグ上では、可能な範囲で弦を沢山巻くようにしていますが、弦同士の干渉を避けるため、ペグ上の巻き数を調整することも有ります。巻き数の調整は、最初にペグの穴に通した弦を折り返す長さで行います。折り返した弦は、そのままではアニキのギターみたいになってしまうので、数回元の弦の周りに絡ませています。

一般的な話として、どうしても上手くいかないなら、楽器店で弦を買った時に、その場で交換をお願いするという事も考えられると思います。一度良い巻き方を見つけてもらえば、次からはその巻き方を踏襲するだけで済
みます。

るいだ さんのコメント...

(^O^)ご丁寧かつ詳細な書き込みありがとうございますm(__)m
現在の私はG線→D線→A線→E線という順序で替えております。もちろん他の弦や、軸への干渉を避けたい時あるいは張る行為そのものに他の弦が干渉するときは少し緩めて作業しています。
以前はY社さんのアルトベンリーでぐるぐるとひたすらペグを巻いていましたが、そのアルトベンリーがある時崩壊しまして、それ以来は軸の穴に弦の端を通す前に上手く軸の周りを3周ほど弦をくぐらせてから全体のねじれが無いかをチェックして軸の穴に弦の端を通します。がその際弦の1巻き目が2巻き目で押さえられるようにくぐらせると良いようですね それから駒が傾かないように弦を良く引き、巻き残り、不必要な重なり、糸箱内への干渉を取るように巻き上げていきます 慎重に作業しますと後は弦の伸びだけで済むような気がします。
当日ライヴがあっても何とか大丈夫でした!
あとはたまにしか交換しないのでこの手順とコツを忘れないようにしなくてはと思っております。
様々な干渉が無ければ思ったよりペグは軽いものだなあと思いました。

yamaguchi さんのコメント...

るいださんコメントありがとうございます。

ストリングワインダーも、あればとても楽ですね。ヴァイオリンのような、テーパーの摩擦で止めるタイプのペグでは、テーパーが抜けてこないように、スクロールチークに寄せて、弦を巻く場合があるようです。とは言え、やはりこれも応急的な措置ではないかと思います。

モリ@ベース さんのコメント...

お仕事に復帰の由。お慶び申し上げます。
ご無理なさらずに御自愛為さって下さい。(拝)


僕は過去に数度、魂柱が倒れるを経験しているので、教科書通り?G弦とE弦。D弦とA弦の二本づつ交換しています。
ストリングワインダーは便利な必須アイテムですよね。『アルトベンリー』の商標の通り。

今の楽器('96新作)の魂柱は未だにデフォルト物なのですが少し当たりが緩いようで、弦交換の際は気をつけないとコトン?コロコロと・・・(゚Д゚)
緊急避難用に自作の簡易魂柱立て(ズン切りネジに刃を付けてS字状の件の形に・・・(^^;))は有りますが・・・


弦のボールエンドに附属しているフェルトは皆さんどうされていますか?
何やら、外す方が音がハッキリする等言われるので、最近は外してはいますが・・・違いの程は??

yamaguchi さんのコメント...

モリ@ベースさんコメントありがとうございます。無理せずに進めたいと思います。ありがとうございます。

ストリングワインダーは、あるに越したことは無いのですが、半年に一度とか1年に一度の交換頻度だと、ストリングワインダーを探すのに時間がかかり、無しでやった方がかえって早かったという笑い話もあります。

弦交換の時に交換で魂柱が倒れる頻度が高いようならば、お近くの楽器店に一度魂柱のチェックを依頼されてはいかがでしょうか。一般的には湿度が高いと、相対的に魂柱が短くなります。日本より乾燥した地方で作られたり使われていた楽器を、日本に持ち込んだ時も同様になると思います。魂柱によって表板の内側が傷つくと、その後の魂柱フィットに悪影響がありますし、ちゃんと補修しようと思うと大掛かりになります。

ボールエンドのフェルトについては、以前も書いたような気がしますが、この辺はプレーヤの好みだと思います。大きな違いが無ければ、ご自身の精神衛生上良い方を選択されてはいかがでしょうか。