2009年12月22日

チューニングマシンを見ながら


ギアが大きいチューニングマシンは立派で見栄えがする。

しかし、今回のチューニングマシンのように比較的ギアが小ぶりなものも雰囲気があって良いと思う。どことなく古風な感じがして好感を持った。写真は、上がクリーニング後のものである。

今回の物は、ギア比が約20:1で、つまりペグを20回回すと軸が一回転する。以前に取り上げたIrving Sloaneは50:1である。ギア比が大きければ、ペグ一回転あたりの軸の回転が小さくなるので、微妙な調整がしやすいという理屈である。ただ、実際にはナット部分の調整や、チューニングマシンの動作の状態によって、大きくフィーリングは変わる。また、実用上は20:1でも十分であるように思う。実際今回のマシンで、微妙な調整も可能で、ペグを回す力も十分に軽くて済み快適であった。


考えてみれば、ガット弦のようなタイプの弦は、スチール弦に比べてたくさん巻かなくてはならない。チューニングマシンと弦との関係で言えば、ギア比が小さい方がバランスが良かったのかもしれない。ひょっとするとスチール弦の出現が、大きなギア比への指向を生んだのかもしれないなどと想像しながら、今回のマシンをしばし観賞させていただいた。

2 件のコメント:

るいだ さんのコメント...

いつも楽しく拝見しております。
最近の歯車は大きい傾向…なるほど。勉強になります。
ガット弦とスチール弦の違いはこのような
部分にも違いを育んだと申しますか…
私は知識不足ゆえ、低価格→小径歯車、高級品→大径歯車という根拠のない分類をしておりました…恥ずかしいです。
遠い昔に専攻した歯車とドリルですから
懐かしいです…といいたいですが、もう既に遠い過去の記憶でした。
乱文失礼しました。不適切な場合は削除お願いします。

yamaguchi さんのコメント...

るいださんコメントありがとうございます。

スチール弦と歯車の関係は、私の想像ですので、何の根拠もありません。時代とともに歯車が大きくなったかどうかも分かりません。そうかもしれないなあと想像してみただけです。変な想像は書かない方が良いと、反省しています。

現実には、おっしゃるとおり、低価格の物には、大きな歯車の物が見られないのは確かで、これは純粋にコストの問題だと思います。ただ、逆は一概には言えないという事でしょうか。

結局は、歯車の大小でなく作りの善し悪しが重要で、るいださんのように、歯車に関する専門の知識を備えた演奏家なら、よりよいマシンを設計できるのではないかと、これもまた想像したりしています。

いつもお読みくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします。