2010年1月17日

チューニングマシンのための彫り込み

今回は、ヴァイオリンシェイプの楽器で、綺麗な形の楽器である。
弦を外そうとすると、チューニングマシンがとても固い。チューニングマシンを外し、スクロールチークのチューニングマシンのための彫り込みをチェックすると、例によって浅い部分があった。

マシンは、ルブナーのマシンで、写真中白い彫り込みの中の、黒くなっている部分が干渉していた所である。今回のようなチロリアンタイプのマシンでは、プレート取り付けのネジを締めると、ここがウォームに当たって、動きが固くなる。ただ、深く掘りすぎるのも良くない。掘り込みの縦に長い部分がウォームギアの出っ張りを避ける部分である。隅の4か所の丸い部分は、ウォームギアの上下を固定する金具が、ベースのプレートから出っ張っている部分である。

チューニングマシンの取り付けには、このような配慮が必要である。細かい事になるが、このマシンのプレートの取り付けネジは、ネジ自体にバラつきがあり、ネジの山が低いものが混じっていた。取り付けられてしまえば見た目では分からないが、取り付ける立場だと、十分な締め付けができないので気になる。山の低いものは交換した。

また、ペグ穴にもペグの軸と干渉する部分があり、ペグ穴の修正も行った。ギアの有る側のスクロールチークから直角に穴が開けられていないと、これも動きを妨げる要因になる。時には、ペグ穴が小さすぎ、軸の動きを妨げている事もある。もともと小さかったという理由ばかりでなく、元はギリギリ良かったが、時とともに木が収縮して小さくなったというケースもあるのではないか。さらに言えば、ペグ穴にニスが入り込んで、動きを渋くしている事もある。

チューニングマシンを外す時、ネジが一本折れてしまった。頭だけが簡単に取れたので、折れる寸前の状態で止まっていたのだろう。恐らく下穴が十分でないところにネジを強引に締めたのではないか。真鍮製のネジはこのような事であっさり折れる事がある。頭が取れてしまったネジを取り除くのは、なかなか大変なことで、特に周りを傷つけないようにするのは難しい。今まで、折れたネジには何度となく泣かされて来た。うまく取り除くには、ノウハウに加えて幸運が必要だ。
今回はあった。

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