2010年6月7日

black bass ふろく

他の弦楽器では考えられない事かも知れないが、時に釘が入っている事がある。


バロックヴァイオリンでネックの接合に釘が使われている、というレベルの話ではなく、表板や裏板を側板に止めるために打ったものである。

ただし、釘の数やサイズからみて、釘で持たせるつもりで打ったものではなく、恐らくは、接着の時の仮止めのためではないかと思う。表板を開けている時にナイフが止まると、やはり戸惑う。手ごたえが堅くても、ニカワの塊に当たっている事もあるので、どうもおかしいとなれば、磁石で探る事になる。


今回は2か所に打たれていた。パフリングにかけて見えにくいように打たれているので、無理に抜かずに、将来の大きな修理の時に抜くのが良いと判断した。

2 件のコメント:

石川滋 さんのコメント...

釘って・・・・
申し訳ないけど、ちょっと爆笑しちゃったなあ。さすがコントラバス。ちまたで「家具」と言われるだけのことはあるね。
といいながら、僕の楽器もハイサドルはねじで固定されてるし。逆にハイサドルはねじがあったほうがいいようですね、僕の経験では。

yamaguchi さんのコメント...

石川さんコメントありがとうございます。

意外かもしれませんが、釘を使ってあるのは、ある意味では良心的なんです。

たいていの場合、使われているのは細い釘で、常々おっしゃっているように楽器には大変なテンションがかかっていますから、ピンのような釘だけでは耐えられません。

ここからは、推測にすぎませんが、結局何のために釘を使ったかと言うと、ニカワを使いたかったからではないか、というのが私の推測です。

ニカワは接着強度が出るまで、クランプ等で締めておかなければならないのですが、普段ベースを扱わない修理店等では、しかるべきクランプが無い事もありえます。その時、速乾性の接着剤を使ってその場限りの修理をするよりは、ニカワを使い、クランプの代わりに釘で仮止めした、というのが大体の所ではないかと思います。もちろん、あまり誉められた事ではないですが、ニカワが使われている限りは、まだ良心的な作業と言えるのではないでしょうか。

これを、もう少し一般的に言うと、「コントラバスはその大きさゆえに程度の低い修理をされてしまう事が多い」と言えると思います。悲しいですが、良いコントラバスでも常にこの危険にさらされています。釘の例でも、大きさゆえ適合するクランプが無かった訳です。(推測ですが)

ハイサドルのネジは、私も必要だと思います。こちらは、釘の例とは違って、クオリティの問題ではなく、ネジが無いとエンドピンのシャンクが抜けてくる可能性があるという事をおっしゃっているのだと思います。エンドピンのシャンクの構造からいって、引き抜く力には弱いので、ネジは必要だと思います。こちらは本質的に必要なメタルワークの例だと思います。

さらに、ネジと言えば、チューニングマシンはネジ留めです。これももとはと言えば、コントラバスの弦の大きなテンションに理由があると思います。ヴァイオリンのような原理のペグでは、弦のテンションを支えにくく、チューニングが難しいということになろうかと思います。

メタルワークには抵抗もあるとは思いますが、テンションとの戦いには、有効な手段でもあります。要は使い方とそのクオリティに尽きるのではないでしょうか。