2010年12月15日

指板が剥がれたら3

外からニカワを流し込む方法は、接着面を綺麗に出来ないので、その分信頼性は下がる。

ボタン部分を外から補強する方法もあるが、今回は、ボルトによる補強を行うことにした。メタルワークについては賛否もあると思う。しかし、必要に応じて使い分ける事は、コストの面も含めて、選択肢を増やす事になるのではないだろうか。

今回は、内側からのネジ止めがあるので、ネックを外して完全な修理を行うには、オープンリペアになる。しかし、今の指板の厚みや、ネックの状態からは、これらを存続させるためだけに、表板を開けるのは費用の面からも妥当でないように思う。指板交換や継ネックが必要になった時に、或いは、他の故障で表板を開けなくてはならなくなった時に、合わせてネックの根本的な修理を行う方が合理的なのではないか。その時にボタンもグラフトできるわけである。

ボタンへの直接的な固定ではないが、ボルトによる接合には強度がある。また、ネックは消耗するパーツであり、将来継ネックなどによって交換される。交換されれば、ボルトも取り去られ、今回の修理跡は消えてしまう。さらに、使っている間に再びネックが緩んだ場合には、再度ニカワを入れ、ボルトを再び締め直してまたしばらくは延命出来る。これらが、ボルト補強の利点である。

ボルト穴を埋めて、目立たないようにニスをかける。穴は、見えなくはならないが、今回の場合は、ほどほどに見えていた方が良いと思う。原則、修理をした跡をなるべく分からなくする方が良いのは当然である。しかし、これは、スタンダードで広く認知されている方法であればの話ではなかろうか。楽器の接合面の殆ど全てがbutt jointなのも、そのためではなかろうか。内部に何か特別な事をした場合には、将来全く事情を知らない人でも、一見してどのような修理をしたのか分かるようにしておく方が、楽器にとっても良いのではなかろうか。

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