2010年12月7日

指板が剥がれたら

指板が剥がれたら、ネックにかかる負荷を減らすため、すぐに弦を緩めた方が良い。
状態にもよるが、基本的には、駒が倒れない範囲で、できるだけ緩めるのが良いと思う。指板は、弦のテンションを支える役目も果たしているので、指板が剥がれるとネックは弦のテンションに負けて変形してしまう。楽器店への移動の時に駒が倒れた時の事を考え、表板を傷つけないよう、テールピースにはタオルなどの布を巻いておけば安心である。
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ケースを開けたら、指板が剥がれていたとのことで、弦を緩めた上で、お持ちいただいた。

指板は完全に取れてしまっていた。前回作業した時の記録を出して見るとメモがあり、その時は、剥がれている訳ではなかったが、接合面のクオリティに疑問はあった。指板に限らず、接着に強度があるかどうかは、外から見ただけでは分からない。前回の時点では、疑問はあったものの、剥がれは無かった。

幸いにも、ネック側には破損が無く、指板のごく一部が欠けてネック側に残っただけで、綺麗にはがれていた。この点では、接着の状態が悪かったのが幸いしたと言える。剥がれた面には、ニカワやらその他の接着剤が色々ついていたので、クリーニングした。上の写真はクリーニング後である。一部、強く着いている指板のかけらはそのままにしてある。
クリーニングすると、指板とネックの間の接合面は、意外にも精度があり、大きな修正は必要なかった。問題は、製作時でなく、途中の修理にあったのだろう。

 指板を貼り直すと、以前ドレッシングしたキャンバーが保持される保証はない。特にこの楽器の場合は、ネックと指板の隙間を埋めるように接着剤が充てんされていたので、接着面は平らではなかった。
先の作業時には、凸凹に接着された状態のままでドレッシングした訳だから、接着面を平坦にして貼り直すと、指板の表面は狂ってしまう。
 
ともかく、以前ドレッシングしたものを再度ドレッシングする事になったので、少しサービスさせて頂いた。

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