2011年1月16日

プレーヤとセットアップ2 「弦高」

結局は、リペアラの視点で書くことしかできないとは思うが、続けてみる。

プレーヤとして最初に気になるのは、弦高ではなかろうか。弦高とは、指板から弦までの距離のことである。

注意しなくてはならないのは、弦高を決めるということは、指板からの距離を決めるだけでなく、弦相互の位置関係も決めているということである。言い換えれば、弓で弾く時に隣の弦を一緒に弾かないためのクリアランス(以降「ボウイングクリアランス」と呼ぶが正しい呼び方かどうかは分からない)も同時に決めていることになる。pizzのみのスタイルのプレーヤにも、より弾きやすい位置関係はあるので、それも含めてここではボウイングクリアランスと単純に呼ぶ。
このクリアランスは、駒上での弦の間隔にも依存するので、弦高を決めるにあたっては、駒上の弦の間隔の好みや、ボウイングクリアランスの好みを知る必要がある。

これらは、楽器が許す限り、プレーヤの好みに近づけることができる。楽器が許す限りというのは、楽器の形による制限があるからである。例えば、ボウイングクリアランスは、いくらでも大きくできるわけではなく、大きくしていくにつれて、E線が弾きにくくなったり、G線を弾くときに弓が楽器のCバウツに当たるということが起こる。大きくするのが良いかどうかは別にして、どのくらい大きくできるかは、楽器の形による。
駒上の弦間隔も、指板の幅による制約があるし、狭くする方も、その奏者が使う最大音量で弾いたときに弦が隣の弦に当たらないところまでである。

これらをまとめると、「弦高」を好みに調整したいと思うとき、

1)駒上の弦間隔
2)ボウイングクリアランス
3)弦と指板の距離

を考える必要がある。他にもあるのかもしれない。基本的には、今の状態を基準として、どの方向に変えたいか考えるとよいのではないか。
しかし、もうお気づきと思うが、弦間隔やボウイングクリアランスを好みの状態に保ったまま、弦高を好みの値にするためには、指板の形がそのセットアップに適した形でなければならない。指板の形が適正でない状態では、弦高を優先するかボウイングクリアランスを優先するかどちらかを選ばなくてはならない。

つまり、弦高を適正に調整するためには、それにふさわしく指板が調整されていることが必要である。

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