2011年12月18日

指板に月

指板の反りの量が適正でも、ナット付近から急速に深くなっている指板がある。

そのような指板の形は左手への負荷が増えると考えるが、指板の反りは、演奏家のスタイルに応じて調整して良いように思う。コントラバスは、もともと体への負荷が大きいから、楽に弾けるよう方向に調整する事が多いものの、演奏スタイルによっては、反りの量は多い方が適正となるかもしれない。
この楽器は、反りを減らして負荷を減らす方向で作業した。

刃の通りが良い材料に当たると、削るのは楽しい。一方で、材の中に何らかのミネラル(?)を含んだような材料では、刃持ちは悪く、仕上げるまでに何度も刃を砥がなくてはならない。正確に削るには刃が切れる必要がある。

「刃物は切れるうちに砥げ」とは師匠の言葉で、その通りではある事は分かっていても、つい「もう少し削ってから」と粘ってしまう。砥ぎを先に延ばすと、切れなくなる分削る労力も増えるし、刃裏が減って、結局次に砥ぐ時に時間がかかってしまう。

仕上がった指板には、何かを映してみたくなる。ランプをかざすと、ちょっとしたお月見気分になった。

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