2012年2月16日

細部と全体の間

セットアップには細かな作業が沢山ある。シンプルな造形に見えて、それぞれのパーツには、それぞれの細かな作業がついてまわる。

細かい作業は枝葉なのかと言われれば、必ずしもそう言えないのではないか。楽器全体をどうしたいかという考えがあって初めてディティールを詰めることができる。楽器のセットアップは、個々の作業の効果を足し算して行ける作業だと思うので、個々の方向性がバラバラでは、足した結果が大きくならない。細かい事でも本質なのではないか。シンプルに見える造形が単純なものとは限らない。

セットアップは、楽器の能力を発揮させ、快適に弾ける状態にする事で、主に消耗する部分が対象になる。駒、魂柱から、指板、ナット、サドル、ネック等、また、テールピースやチューニングマシンも対象になるかもしれない。
チューニングマシンの手入れは、セットアップとは呼べないかもしれない。しかし、「壊れている訳ではないが、調子が悪い」チューニングマシンは非常に多い。チューニングマシンの調子が悪いと、調弦が快適に出来ない。調弦が快適にできることは演奏と演奏生活のクオリティに対して大きく貢献すると思う。

「何となく調子が悪い」セットアップと、「何となく調子が良い」セットアップの間には、深くて暗い川・・・ではなく、数多くの細かな作業が横たわっている。 この二つは決して近くないと思う。

2 件のコメント:

教授 さんのコメント...

神は細部に宿るって言いますものね。

yamaguchi さんのコメント...

教授さんコメントありがとうございます。

その言葉の意味は本当に難しいですね。細部を詰める事によって、浮かび上がってくる全体像もあります。旨いコーンがアイスクリームを引き立てます。
神が宿るほどのディティールは無理にしても、せめて愛の宿る物にしたいです。