2012年5月9日

スクリューの穴

ボタンのスクリューの長さと、弓のスティックの穴の深さとは一致している方が良いのではないか。
一致していない弓も良く拝見するので断定はできないが。

一致していた方が良い理由の第一は、万一ボタンからスクリューが抜けてきた時、スクリューがスティック内部に入り込む可能性が有るからである。アイレットのmortiseより先の穴は、ネジ部分よりも細く開けられている事が多い。 スクリューが内部に入り込むと、内側からスティックを押し割る可能性が有る。

実際にそのようにして割れた事例は一度見た事がある。何故割れるのかが理解されていなかったようで、何度も修理されていた。

対策は、穴の底に木を入れて穴の深さをスクリューに一致させる。入れる木は、Pernambucoが良いように思うけれども、他のものでも構わないと思う。もし、入れた木が嫌なら、取り除く事は容易で、スティックも傷めない。

穴の深さとスクリューの長さが一致している利点は、万一の対策だけでなく、弓の毛のテンションを穴の底でも分散して受けるため、 ボタンとスティックが接している部分が摩耗しにくくなるということもあるようだ。写真のプレッチナーは2000年の新作なので、ボタンがオリジナルであれば、ひょっとすると、穴を深くする何か別な理由があるのかもしれない。

摩耗と言えば、スティックより柔らかい素材であれば、いわゆるラバー(プラスチック)のボタンは高級感では劣るものの、スティックの保護のためには利点となるのかもしれない。

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