2013年4月21日

ネック

一見しっかりついているようで、弦を外すと緩んでいるネックがある。
一見しっかりついているようで、弦を外してもしっかりついているようで、全く問題無いように見えても、実際は問題のあるネックというのもあった。

以前から拝見している楽器で、弾いてみると決して悪くないが、どこか不満のある鳴り方であった。楽器の作りやクオリティに見合う感じがしない。

セットアップは一通り拝見しているのに、どうしても解決しない。楽器の能力的には必ずあるはずなので、やっぱりネックしかないと決めて、少し長めにお預かり出来た機会に、テンションを開放し、しかるべく状態にしてから、時間をかけて様子を見た。

ネックは一見しっかりついていて、少し力を入れたくらいでは問題無いようだった。タップした音も良さそうだった。しかし、しばらく寝かせているとネックと表板の間が少し開いてきたので、問題はネックであると分かった。10キロ位の力の世界では見えないが、100キロ位の力の世界では問題になるようなつきかただったのかもしれない。

補修してセットアップしてみると、まさに望んでいた状態になり、ようやく本来のスタート地点に立てたように思う。偉そうなことは言えないが、楽器を寝かせて置いておく時間は、無為に過ごしているようでいて、大変重要なプロセスではなかろうか。

4 件のコメント:

shigsbass さんのコメント...

う~む、これは中々示唆に富んだ内容だ。唸らせられたよ。似たようなことが、昔オレの楽器にもあったな。それにしても、楽器を「寝かせる」という発想は新鮮だ。

yamaguchi さんのコメント...

shigsbassさんコメントありがとうございます。ネックの問題は苦労する事が多いです。

私が発見した事でも始めた事でもないと思うのですが、寝かせて歪や変形を取り除くと、その後のセットアップの収まりが良いように思います。

演奏家にとっては、ダウンタイムも考慮すべき重要な条件で、余裕がない事もありますが、テンションを取り除くと元に戻ろうとする姿は、月並みな言い方ですが、生きているような感じがします。

リアルタイムの芸術という過酷な現場に戻るまで、ウチに来た時位はゆっくりしていってもらえればと思います。

教授 さんのコメント...

今回もありがとうございました。これでもう楽器のせいにはできなくなりました。今後ともよろしくお願いします。

yamaguchi さんのコメント...

こちらこそありがとうございました。力足らずで時間がかかり申し訳ありませんでした。こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。昼の唐揚げ美味しかったですが、少しもたれてます。