2013年11月8日

友人

簡単に言うと、初めて拝見する楽器は、どんな楽器でも初めて会う人のようだ。

従って、筆者の場合は、最初にすべてを見切り、すべての場所について一度に解決することは難しい。何度も拝見して、付き合いを重ねるうちに分かってくる事も多い。

全く初めは見えなかったものが、少し見えるようになる。コントラバスは大きな木の箱に過ぎないけれど、広い宇宙のようにも思える。知るには時間がかかる。

大体最初はいつもゆっくりで、 次もやっぱりゆっくりだ。ゆっくりでも、でももうその他大勢のきつねではなくなっている。楽器の作者に対する尊敬や、楽器と材料の木そのものに対する畏敬の念はある一方で、知り合いになった事そのものが、親しみのような、特別な存在になったようなそんな感じを与えてくれる。

事あるごとに師匠とお呼びするのは気が引けるが、師匠とセットアップした楽器達はFriendsなんだという。Friendsなんて、少し気安い感じもすると誤解していた。患者に対する医者のような、作曲家に対する演奏家のような、もっと重々しい関係がふさわしいような気がしていた。しかし、そんなことは当然のことだ。

友人とは、多くの教えをもたらす偉大な楽器であっても、気難しいじゃじゃ馬でも、この広い世界で知り合うことでができた喜びを表す言葉だ。

0 件のコメント: