2019年12月11日

”本物の男はリハーサルをしない”

原題は"Real men don't rehearse"、元ボストンポップスのコントラバス奏者Justin Lockeさんによるオーケストラ裏話で、楽しく読んだ。コントラバスにかかわりが無くても面白いし、かかわりがあればなおのことである。ユーモラスな視点から、でもフェアに物事を見ているところがあって心動かされた。

ファミリーコンサートのような、クラッシックを題材とした子供向けのプログラムには、洋の東西を問わず苦労が絶えないようだ。著者がファミリーコンサート向けに書いたプログラム"Peter vs the Wolf"は、プロコフィエフのオリジナルの音楽に、Justin Lockeさん自身が脚本を書いたものだ。上演に若干の工夫がいるかもしれないが、日本でも上演されないかと思う。

修理や調整にもリハーサルがある。少なくとも私はリハーサルする・・・本物の男ではないから?

2019年11月18日

Reid Hudson弓の贋作について

Reid Hudsonの弓について、贋作の情報がありました。
本物をご覧になっていないと、真贋の判断は難しいかもしれませんが、偽物を間違って購入なさらないようお気をつけください。

以下の写真は、イギリスで見つかった贋作です。

fake Reid Hudson Bass bow
fake Reid Hudson Bass bow (frog)

fake Reid Hudson Bass bow
fake Reid Hudson Bass bow (tip)

2019年9月30日

ムーラディアンケースの取り扱い終了について

Mooradian社の生産終了に伴い、ムーラディアンケースの取り扱いを終了いたしました。
長年ご愛顧いただきありがとうございました。

2019年7月29日

椅子に座る時

コントラバスを弾く時、スタイルとして座って弾くことを選択する以外にも、座って弾くことが求められる場合がある。プレーヤーとしては、座って弾くことも必要な技量となる。
一般には座ると楽になるイメージだが、注意すべきことがあるのではないか。

人間工学の立場からは、椅子に座ると負荷が増える部位があることが指摘されている。つまり、椅子に座って楽になる部分とそうでない部分がある。椎間板にかかる圧力は立っている時より座っている時の方が大きくなる。立って弾く場合とはまた別な配慮が必要なのではないか。

どのようにすればよいかを筆者程度の者が述べることはできないが、少なくともそのような意識をもって演奏姿勢を考えることは、座って弾く場合であっても、健康な演奏生活を送るために必要なことのように思われる。

「いま、もし理想のいすというものがあったとしても、それはすわることによって起こる上体の無理を、どこまでゼロに近づけ得るかというものでしかない。」
人間工学からの発想 小原 二郎 講談社  より

2019年5月17日

4 → 5

4弦を5弦にするご要望であった。テールピースにチューニングマシンを追加した。

調弦等を含め比較的特殊なセットアップのため、ナットと駒、テールピースのみの変更となった。一般的なセットアップを前提にすると、楽器の強度や寸法のハードルがあるから、単純にテールピースにチューニングマシンを追加するだけとはいかないと思う。

 この楽器は高価なものではないが、とても大切に使われてきており、30年を経て大変良い感触である。 大切に使うことの大切さを感じる。

2019年3月16日

コントラバスの音で

週末「今夜はEdgar Meyerナイトだ!」と動画サイトを見ながら飲んでいたら、Joel QuarringtonのBachに行き当たって泣いてしまった。言えば色々あると思うが、とにかくコントラバスを通して音楽に触れる心地よさよ。

2019年1月31日

やはりメンテナンス


メンテナンスの重要性をブログに書いた話をしたら、家人は言った。「お前がな。」

機械類の手入れをした。
 
テーブルソーが、いよいよ待ったなしの状態になっていた。アーバーの軸受けはシールされたベアリングなのでメンテナンスとしては交換しかない。
モーターもベアリング交換で済まそうと考えていたが、良いものが入手できたので、この際だから交換した。重い。
リンクベルトはまだまだ使えそうである。ボール盤にも使っているが、良い買い物であった。定番のプーリーのチューンアップは今更なので見送りとした。
今までも十分に調整していたつもりだったが、手入れした後は、切り肌がワンランクアップした。簡易的な機械だからパワーはあまりないが、精度は出たのではないか。

部品を探していて、Unifenceが製造中止になっていたことを知った。現在の標準はBiesmeyerかそのコピーであろう。どちらにするかずいぶん迷ったが、筆者には合っていたと思う。当時left-tiltはまだメジャーではなかった。UnifenceでRight-tilt、集塵の効率も悪ければriving knifeも無しでは、時代遅れの感は否めない。


※テーブルソー(昇降盤)は有用ではあるが、非常に危険な機械である。使用について十分な教育と訓練を受けていなければ使ってはならない。

2019年1月18日

メンテナンス

一通りセットアップされた楽器でも、基本的にはメンテナンスが必要ではないだろうか。

セットアップされた状態は、多くの場合時とともに変化する。かかっているテンションを原因とする楽器自体の変形のせいであったり、気づかないような接触による変化が理由のこともある。駒の部分は、ソフトケースに入れた状態で運んでいて、気づかないうちにぶつけていることがある。もともと弦で押さえつけられているため、ずれても自然に戻ることは無いし、駒脚が広がると元に戻ることができない。

物理的な変化が無いように見えても、セットアップで整えられた後、時間が経つにつれ状態が変化することが多い。弾きこまれ、こなれた感触が出てくる一方で、音の輪郭や音の均一性などは薄れていく傾向になり、サスティーンも短くなるケースも多い。

演奏家によって、こなれて丸くなった状態が理想とされる場合もある。楽器の健康状態に問題が無ければ、その状態を維持する選択も当然にありうる。一方で、故障などのきっかけでメンテナンスを行った時に、「こんなに違っていたのか」と思われるケースも多い。

セットアップの変化は徐々に進むので、普段から多く楽器を弾いていらっしゃる方ほど変化に気づきにくいことがある。
できることなら2年に一度位の頻度でメンテナンスを受けていれば、状態が保たれることが多いように思う。楽器のエッジの破損や、割れや剥がれも深刻な状態になる前に見つかる可能性がある。

マイナスを元に戻すだけでなく、メンテナンス時にセットアップを積み重ねることもできる。 前回の状態を基準にして、理想により近づくチャンスでもある。