2007年8月21日

チューニングと鉛筆

上ナットの溝の調整が不充分だと、チューニングの時に「カキ」という音と共に、音程が段階的に変化してしまう事が有る。チューニングが量子化されてしまうのである。

弦が古くなって表面の巻きが緩んでいる場合には、この巻きのエッジがナットに食い込んでいる事がある。

弦に問題がないのに、これが起きるのは、上ナットでの摩擦が大きく、ナットとペグの間にテンションが残ってしまうからである。これを解消するには、ナットの溝を適切に成形するのが最も重要だ。同じ弦の通る溝でも、駒の方は、量子化とは関係ない。しかし、駒の倒れを修正する場合には事情は同じで、溝の形状が適切でないと、弦を緩めない限りテコでも動かないのである。

ナットも駒も、鉛筆で溝を塗ると、滑りを良くするのに効果がある。黒鉛を潤滑材として使うわけである。筆者は特に問題を感じないが、鉛筆の使用は賛否があるかも知れない。塗りすぎると周りが汚れるし、はみ出すとみっともないので、そこは丁寧に作業する。

ちょっと気になったので調べてみたら、鉛筆の芯は、黒鉛と粘土と油(動物性)が原料で、いずれも天然素材のようだ。この油も滑りを良くするのに一役買うのだろう。鉛筆で書いた字の周りが油っぽくなるような事は無いから、ごく微量か常温では固体の油なのではないかと思う。

黒鉛と粘土の割合は、HBで7:3位だということで、最も黒鉛の比率が高いのは6B。筆者は6Bは他の用途で使うが、ナットや駒の潤滑には4Bを使うことが多い。6Bでは芯が太く柔らかすぎて作業性が良くない様に思えるためだ。妻は「・・・どう違うんだよ。」と冷たい。

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