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2014年11月3日

C-エクステンション


 エクステンション単体をお作りするというより、全体のセットアップがあったうえでエクステンションをお考え頂くようにおすすめしている。

カポを固定してしまうので、弦長が確定していないと音程が正確でなくなってしまう。弦長をどのように確定させるかは、単純なようで難しい。その他にも、弾きやすさやエクステンションのためのスペースをどのように確保するかということも、他のセットアップが確定していないと決められないことがある。従って、エクステンションの製作をご依頼頂いた場合でも、セットアップが固まっていなければ、セットアップを先に行うようおすすめすることになる。

この楽器では、エクステンション内部にスクロールを迂回するだけのスペースが取れないため、スクロールに穴をあけて弦を通している。弦の取り回しは、チューニングのやりやすさに影響があると同時にノイズが発生しないような配慮も必要になる。
エクステンション内部に弦を通さないと、設計上の余裕が生まれるので、 その分全体をスリムにした。

追記
この度、当方のエクステンションが意匠登録されました。登録されたという事は、デザインのオリジナリティを認められたという事なので、とても嬉しい事です。出願にあたりソシデア知的財産事務所さんに大変お世話になりました。お礼申し上げます。




2014年6月12日

5弦にエクステンション?

5弦にエクステンションをつけたいとのご依頼であった。

詳しくお話を伺うと、ウィーン調弦の5弦にエクステンションをつけたいとのお話で、ウィーン調弦では第5弦をF~Dで調弦することが多く、エクステンションを追加することによって、Cまで出せるようにしたいという趣旨であった。

色々と相談させて(教えて)頂いた結果、半音三つ分で、半音ごとにカポ(ゲート)をつけることにし、かつ、Long-Eを使わず、普通の長さの弦を使うという仕様で製作させていただくことになった。

 半音三つ分は、F~Dで調弦した時の最低音の範囲と、通常の弦の長さの制約から決定していただいた。

すべての半音にカポをつけるというのは当方の提案で、運動性に劣るこのタイプのエクステンションでは、カポの助けが必須で、開放弦の音を簡単に変えられることがメリットであると説明させていただいた。
極力シンプルになさりたいとのご希望で、サムレストは省略し、本体の幅も細くした。

 Long-Eでなく、通常の弦を使いたいという強い要望を頂き、ペグの位置にはこだわらないと言っていただいたので、エクステンションのナットに最も近いペグにエクステンションの弦が入るようにした。通常の5弦で言うところのAに入れた。これも、できてみると、下4つのペグが通常の4弦と同じと見れば、一番遠いペグがエクステンション用の特別なペグと考えることができて、合理的な配置にも思えた。5弦であることが幸いしたのではないか。

もちろんこれだけでは、弦の長さは足りないので、テールピース側を少し加工して、”チューニング用のアジャスター”を使い、弦長を稼いでいる。それでも、弦の巻糸部分がナットにかかっている。今回使用した弦では、巻糸部分と通常使われる範囲の間は、金属巻ではあるものの、表面の研磨状態が荒くなっており、カポを減らしてしまう可能性があったので、表面を整える必要があった。

エクステンションのカポの位置は、計算した位置で経験上まず間違いない。弦長が長い側のせいか、実際と計算は非常によく合う。しかし、今回のように、いわば”無理な”弦の使い方をすると、計算から少しずれが生じるようだ。カポで閉じた音程はかなり正確に合うが、すべてのカポを解放した時の音には少しずれがあった。巻糸の影響が出ているのではないだろうか。実用上は耐える範囲のずれと判断し、弦のブランドにも依存すると思うため、一応今回は、ナット位置は計算上の位置とした。この辺は、少し使っていただいて、必要なら、ナットの音程を調整する。

今回エクステンションを製作し、テールピース側にはアジャスターを追加したが、音の面でも、問題ないようにセットアップできたと思う。

2014年4月12日

Cエクステンション



エクステンションを作る時は、基本的な設計のコンセプトに加えて、個別の事情を設計に反映する必要がある。

ペグボックスの形による制約や奏者の要望によって、形や固定方法が変化する。

この楽器はペグボックスの全長が短く、エクステンションの全長を最小限にすることがまず必要であった。弦の取り回し方法を新たに設計した。

それに伴い、全体のデザインを一新した。サムレストを拡大し、手で触るだけで音程が分かるような工夫を入れつつ、エクステンション上でのシフトもスムーズに行われるよう変更を加え、合わせてカポも新たにデザインた。

楽器に付属するものだから、質感が見劣りするようでは楽器のクオリティを損なうし、実用上の理由でつけるものだから使いやすさと同時に、耐久性も確保しなくてはならない。
以前からの方法を踏襲しつつ、細かい部分で耐久性を高めるマイナーチェンジを行った。またメンテナンス性を高める工夫も入れた。

音程については、カポの位置を調整できるようなエクステンションもあるが、弦長が固定されていれば、基本的には不要と考えて、調整機構はつけていない。単純で効果的な調整機構が出来れば組み入れてもよいとは思うが、実用上はほとんど必要ないのではないか。エクステンションは、弦長が長い側での操作なので、計算と実際の音程はかなり良く合う。構造が単純になることは、トラブルを減らす効果もある。
もっとも、大前提の弦長が固定されるためには、駒周辺のセットアップが固まっている必要がある。今回は、エクステンションの製作に先立って、合わせて駒周りのセットアップをさせて頂いた。

チューニングマシンまではモディファイできないが、奏者が手を痛めないような工夫は必要である。手の当たる部分の形や指の入るスペースを検討する。結果的にサムレストは薄くなったが、必要な空間を確保できたのではないか。

このタイプのエクステンションで左手をどのように使うかは奏者によって異なる。もともと演奏するはずのない部分に演奏範囲を広げる訳だから、多かれ少なかれ不自然さはある。このエクステンションでは、通常のポジションからエクステンションに移る時、左手親指は、ネックの裏からナットのG線側の端に出てきて、その後エクステンションのサムレストに移動するというイメージで各部分の配置を決めている。


2009年7月5日

C-extension (6)


一旦分解してから、各パーツの仕上げを行う。機能的に優れていても見た目が悪ければ、価値は半減してしまう。半減は大げさかもしれないが、少なくとも手触りが良かったり、表面が綺麗であることによって、使う喜びは増すのではないだろうか。

カポの動きの固さが均等になるように調整し、調弦の具合などを確認する。エクステンションの辺りは、普通なら演奏中に手がいかない場所である。慣れないと、ペグの取っ手などに手が当たり易い。ペグ以外にも、ナットのG線側の角は、ヒットしやすい場所のように思う。試奏しながら、可能な範囲で、手に当たりそうな場所の面の形を修正する。

あからさまに丸くすると形がだれるから、ほどほどにするが、演奏中
の手はとても速く動く事があるから、怪我への配慮は必要な事ではないだろうか。この楽器は問題無かったが、チューニングマシンのプレートの端が浮き気味になっているような楽器では、プレートを修正する事も必要になると思う。

エクステンション上のサムレストとG線側のスクロールチークの間も指を挟みやすい部分では無いかと思うが、エクステンションとスクロールチークの間隔は、ナットに近づくに従いどうしても狭くなるので、慣れるまでは注意が必要かもしれない。

試奏でついた指紋などを拭き取り、作業終了となる。黒檀部分の仕上がりは少しだけ艶消しにしてある。使い込めば、良く触る部分には艶がでて良い風合いになると思う。真鍮部分の色も落ち着いて渋くなるだろう。

2009年7月2日

C-extension (5)

真鍮パーツの加工を経て、カポの調整を行う。

弦への当たりや、開閉の状態などを見ながら、各音程ごとに形を合わせる。カポを閉じたときに、閉じた部分より上の弦がノイズを出さない事も重要だ。四角いカポは、何とも無骨だけれど、機能だけならこの状態でも使えない事はない。よほどの事情が無い限り、カポは片手で操作できた方が都合が良い。弦を指板側に押さえてからカポを閉める、というような余計なアクションが入らない方が、演奏者には都合が良いのではなかろうか。

カポの数に関して言うと、少なくともEのカポは有った方が良いのではないかと思うが、その他は、純粋に弾く方の好みではないかと思う。カポは開けてしまえば無いのと同じなので、半音ごとについていた方が、演奏が楽になるとは思う。しかし、オクターブの連続を弾くためにC#だけに追加したり、Dだけに付けたりといった選択肢もあり、自由である。カポを増やすと、その分の重量が増えるのでデメリットと言えない事もないが、機械式のエクステンションや、チューニングマシンの重さとの比較でいえば、ほとんど問題にならないレベルのように思う。

機能上の調整がすんだら、形を作ってゆく。カポは良く見えるし、直接手に当たる部分だけに、形もまた重要である。小さな世界だけども、例えば、面の処理などは、どこで始まり、どう繋がって、どこに消えていくのか、バリエーションは無限にある。オーナーの方の希望をお聞きして作業するが、ディティールをつくる楽しみを味わえるのは、作る者の特権かもしれない。

2009年6月28日

C-extension (4)


成形加工が終わったら、仮付けして、実際のセットアップをつめる。

エクステンション上の小さなナットをつくり、他の弦との位置関係も確かめる。カポなしで試奏しながら指板を含めて調整する。まだ仕上げていないため、黒檀の表面は少し白っぽく見える。エクステンション部分の指板の調整は、エクステンションの善し悪しを左右する重要な要素の一つである。エクステンションの名が示す通り、基本的には、元の指板の延長で、さらに弦高や指板の反りの量を加減しながら、修正を加える。

今回はサムレストの形状を多少変えて、ペグボックスへの開口を増やした。この楽器は、過去にペグボックスの付け根部分に修理が行われていて、ナットの下のスペースに余裕が無かった。本体の固定をナット下で行う事はできず、スクロールチークへネジ止めしている。やはり、楽器は一つ一つ状態が違うので、取付方法ひとつとっても、楽器によってより良い選択が異なるということではなかろうか。

弦の取り回しの都合上、本体の長さが若干長くなっているが、通常のケースに問題無く収納できる範囲である。弦の取り回しは、なかなか難しい問題で、特に弦をスクロールの中を通さずにEのペグに入れるには、配慮が必要である。スクロールに穴を開けて、Aのペグに入れる場合に比べ、取り回しの距離が長く、途中の抵抗も大きくなる。弦を急角度で曲げないためには、ある程度の長さが必要になるが、長すぎるのも良くない。使用される弦の種類も多少は考えに入れる。これもやはり楽器に応じて個別に判断するしかないように思う。

2009年6月25日

C-extension (3)


エクステンション本体を楽器に合わせて削って合わせる。

どのようなやり方でエクステンションを固定するか、方法は他にあるにしても、多くのエクステンションでは、弦を張ったとき、弦のテンションで、エクステンション自体がスクロールに引き寄せられる力を利用していると思う。正確に削り合わせれば、エクステンションは安定し、弦の力だけで、十分強固に固定される。このような状態にしてからネジ止めすることによって、ネジに対する負荷が減り、より安定した取り付けになるのではなかろうか。

フィットの後 成形していく。指板部分の形や高さもこの時点で決まり、最終的なExt. E線の弦高も決まってしまう。サムレストを削りだしたり、ネジの穴を開けたり、プレートの入る穴を開けたり、先端の滑車のための加工をしたり、まだまだ仕事は多い。

今回も、滑車で折り返したExt. E線は、エクステンション本体の内部を通って、スクロールの上を通過し、Eのペグに入る構造である。弦が、スクロール部分を避けながら、ネジ止めの穴やカポのステーと干渉しないようにしつつ、Eペグの軸に向かうよう長い穴を開ける。

2009年6月18日

C-extension (2)



黒檀も木なので、木目がある。

エクステンションの材料としては、木取りの方向を出来るだけ完成したときに強度の出るような方向にしたい。また、木には反り易い方向がある。万一反ってきた時に、その反りが機能に影響を与えにくい方向になるようにしたい。さらに構造の問題だけでなく、仕上がった時、指板になる面に、より良い木目が現れるようにしたい。

表面の保護ワックスを取り除き、木目を見やすいようにして作業する。一度切ってしまえば、やり直しが効かない。一番最初に行う作業が、最後の仕上がりを決めてしまうというのに、材料を読み取るのはとても難しい。

適当に切ってしまっても、気づかれないかもしれない。しかし、出来あがったときの品質には、人は敏感に反応するものだ。どこがどうだと具体的に指摘できなくても、感覚的に分かってしまう。もし、そういう理由が無かったとしても、最低でも、材料の傷や問題を見ておかなければ、やり直しとなって、もう少し現実的な問題になる。やり直せれば良いが、条件が厳しければ、予備の材料がとれない事もある。いつでも木取りは難しく、迷いの多い作業である。

(エクステンションの製作作業の紹介をしていますが、自作をすすめている訳ではありません。)

2009年6月14日

C-extension


エクステンション製作のご依頼を頂いた。

いきなり完成しているが、途中の写真も少し撮ったので、これから紹介していきたい。

今回製作したエクステンションは、細かい部分の変更はあるが、基本的な考え方は以前から変わっていない。 カポのデザインが、少し変わったが、純粋に意匠の問題である。本体もサムレストの形状などが多少変化している。これは、以前のエクステンションのオーナーの方からの助言もあってできたことである。上の写真では、カポをすべて閉じているが、実際の使用上では、こういう状態になることは少ないのではないかと思う。

エクステンションで気になるのは、エクステンション自体の出来もさることながら、コントラ音域の鳴りである。テンションが変わるのであまり正確なテストではないが、E線をDにしたりして反応をみたりする。結論から言えば、今回の楽器はコントラの音も良く響いて、エクステンションを付けるというオーナーの方の判断は正解だったのではないかと思う。

2008年7月12日

ネックのピッチ(エクステンションと5弦)

電波塔の例え話では、ネックの振動を妨げない方が楽器の鳴りには良いのではないかという話を紹介した。

しかし、かと言って、ネックがグラグラでは良い結果は得られるはずがなく、ボディとはしっかりと接合されていなければならないようである。本体には固定されているが振動は妨げない方が良いと言う事になると、電波塔の例え話では説明は難しいのかも知れない。

このことに限らず、筆者の場合には、理論の証明よりは、テストして良い結果が得られる事が重要である。電波塔の例は、ナット上の弦間隔の話に関連して出てきたが、現実には、ナットを新しくすれば、弦間隔以外にも材質やフィットなども変化するから、弦間隔の寄与だけを取り出す事はできない。弦間隔に注意して新しいナットを作ったとしても、入れ替えて弾いて見て、その結果で使うかどうかを判断すると言う事である。何を良いと思うかについては主観が入ると思うが、それはある程度は仕方ないし、最終的には楽器の持ち主に判断してもらうしかないと思う。

他にも、モード・チューニングのような事も、結局、良い結果を探すための指針なのではなかろうか。楽器はそれぞれだから、理屈通りにピッチをセットしても、本当にベストの位置なのかは疑問が残る。ある程度範囲をとって、調べることも必要なのではないだろうか。

こういうやり方では、手間や時間は余計にかかる。技量が高く経験が豊富な技術者であれば、より短い時間でより高いクオリティに到達出来るのかも知れない。残念ながら筆者の場合は、ゆめゆめ時間を惜しんではならないということのようである。

2008年6月21日

エクステンションと5弦

コントラCは良い。
問題は、5弦かエクステンションかだ。

言い古されたこの問題に、明確な答えは無いようである。先日エクステンションつきの楽器の隣で弾く機会があり、オルガンを連想させる音に改めて感心した。その楽器が良い楽器だからかもしれないが、支えとエッジの両方がある感じである。楽器の個体差がある事は大前提での話だが、どちらかと言えば5弦の方が音はダークで、柔らかい感じになる傾向があるように思う事が有る。

当然音の良い5弦も存在すると思うし、5弦の方がエクステンションより早いパッセージが弾きやすく、仮に音がダークで柔らかいとしても、その方が適したシチュエーションもあるから、冒頭の問い(?)は、結局選択の問題となる訳である。

筆者の興味の対象は、5弦の方が音はダークで柔らかい傾向にあるとすれば、何故かということである。実際にはそのような「傾向」など無いのかもしれないが、5弦に関して一つ言われているのは、テレビの電波塔である。四方からワイヤーで支えられた細長い電波の中継塔を楽器のネックに例えている訳である。塔を支えるワイヤの数が少なくなれば、あるいはワイヤが片方に寄せられれば、塔は揺れやすくなる。コントラバスのネックも弦の数が増えれば、あるいは弦どうしの間隔が広がれば、ネックはより強固に固定されて振動しにくくなる。その結果、音が抑えられてダークになるという理屈である。

例によって、これが本当の事かどうかは筆者には分からない。現実には、エクステンションと5弦の違いは、楽器の個体差の方が大きいかもしれない。また、楽器本体の問題だけでなく、ゲージが細くて長い弦と、ゲージが太くて短い弦の違いも音に影響を与えているのかもしれない。

2007年4月24日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など7


エクステンションの機能および外観の仕様が決まったら本番の材料で製作する。

今回は黒檀を使った。非常に高価だ。同じ黒檀でも、縞黒檀は比較的安価だが、真黒と言われる黒色に近いものほど値段も上がり、入手も難しい。黒檀の使用量を減らすには、本体のネックと同様に、メープルと黒檀を貼り合わせる構造にしても良いかもしれない。メープルは、黒檀より柔らかいので、スクロールへのフィッティングもやりやすくなる。

写真は、今回の一連の検討の結果に基づいて製作したエクステンションの本体である。写真には写っていないが、カポも黒檀で製作した。後は、金属のパーツを製作し、組み立て、楽器に取り付ければ完成だ。楽器に取り付けた完成状態の写真は、ホームページ(コントラバスのCマシン製作とセットアップ )の方を見ていただきたい。

2007年4月21日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など6


エクステンションの機能の追及が終わったら、美学上の検討をしよう。

楽器の美しさにはかなうべくもないが、せめてその美しさを減ずる度合いを少なくしたい。

機能上の要求が明確であれば、成形の自由がある部分と無い部分がはっきりするので、これを頼りにする。

紙やトレーシングペーパーを用いたスケッチを行うのはもちろん、最終的にはモックアップで確認する。何をどう美しいと感じるかは人それぞれなので、この段階は最もクリエイティブになれる段階かもしれない。紙上ではベストに見えた形も、三次元になると見え方が変わってくる。モックアップに直接書きこんで形を検討して行く。エクステンション本体は勿論カポも同様な過程を踏んで検討する。

2007年4月18日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など5


さて、エクステンションの指板部分の形が固まったところで、カポの検討に入る。

カポは、好みによっては全く無しでも構わない様だが、Eのカポは最低限有った方が演奏しやすいのではなかろうか。また、Philharmonia Orchestra のビデオクリップでは、オクターヴの連続を弾く場合の要求として、Eに追加してCisのカポの必要性も言われている。

前置きはこの位にして、Eのカポから検討に入る。ここでは、もちろん機能上の要求を満たす事を追求する。写真の様にモックアップ上で、必要な大きさや取り付ける角度などを検討する。取り付け角度が適切でないと、一度弦を押さえてからでないとカポが閉まらないという事になる。さらに、カポを綴じた時に弦間隔を正確に保持できるよう、筆者の場合は、弦に当る面をV字の形に成形して、カポが弦を「キャッチ」するような形にしている。

Eのカポが終われば、その他の音程のカポも同様に検討して行く。Eのカポは取り付け部分の制約があるので、例外的な扱いが必要になるが、その他の3つのカポ(Es, D, Cis)についてはほぼ同じ形で製作している。

使用するボルト等の金物類の選択も、長い目で見れば重要だし、金物類がプアでは情けない。ここではサビと質感に配慮して真鍮製の物を使用している。もちろん真鍮メッキではなく、ソリッドの真鍮のものを選んでいる。ただ1点、マイナスのボルトを使用しているのは単なる意匠上のこだわりである。見た目がスッキリと納まるように思うのだが、最近ではマイナスネジが絶滅に近い状況なのは惜しい。

2007年4月10日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など4


モックアップ(試験材料)を、先に行ったマークをもとに成形する。

最初は、専ら機能上必要な部分を切り出して行く。エクステンション上を押さえる時の補助となるサムレストの具合や、エクステンションをつけた状態で他の弦が交換出来るかどうかなどをチェックする。

また、(エクステンション上の)指板の巾やキャンバー、Rなども確認する。マークした音程が合っているかも確認する。筆者の場合は、弦長を元にした平均律にしている。写真では、先端にプーリーを入れて弦を張ってあるが、まだ固定はしていない。エクステンション側の弦高もこの時点で決める。

これらは時間と手間のかかる作業だが、全て機能上の要求だからエクステンションの使いやすさに直結するものばかりだ。万全を尽くしたと思っても、見落としや不都合が出てくる可能性は常にある。我慢のしどころだと思う。
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本投稿はエクステンション製作の概要であって、実際の製作に必要な細かな手順や様々な道具、知識などには触れていない。
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2007年4月6日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など3


写真は先にマークした基準をもとに、必要な大きさに切り出した試験材料(モックアップ)をのせたところである。

試験材料は必要な大きさにプラスαしてあるので、多少バランスが悪い。スクロール部分と、糸倉のほおに当る部分は大まかに切り取ってある。ピッタリに切れれば良いが、多少切り込み加減にして、シムで調整する位でもよい。

エクステンションを取り付けるために、従来の上ナットの一部が切り取られている事にお気づきと思う。エクステンションのモックアップには、弦の通り道やカポの位置、さらに弦をおり返す滑車の位置をマークしてある。指板と接する部分の木口には、指板のRもマークしてある。これらの位置を押さえた上で全体の輪郭線を決めて行く。

写真からお分かり頂けるように、エクステンション本体はスクロールの上に乗るので、スクロールが出っ張っている楽器では、エクステンションを取り付けにくい。幸いこの楽器では指板のキャンバーの延長線とスクロールの間に、充分な空間がある。

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本投稿はエクステンション製作の概要であって、実際の製作に必要な細かな手順や様々な道具、知識、木工の技量などについては触れていない。くれぐれもご注意頂きたい。
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2007年4月4日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など2

指板を延長するタイプのエクステンションでは、大雑把に言って、スクロールを切り込んで延長指板を埋めこむやり方と、スクロールを保存するため延長指板をスクロールにフィットするよう加工するやり方がある。

前者はスクロールを大きく切り取ってしまうが、延長指板の加工が楽なので、スクロールを保存するほどでもない楽器(失礼。)の場合に適している。後者はスクロールへの加工は最小限で済むが、延長指板をスクロールにフィットさせる作業にコストがかかる。

---注意---
本投稿はエクステンション製作の概要であって、実際の製作に必要な細かな手順や様々な道具、知識、木工の技量などについては触れていない。また、取り付けが可能な場合について述べているので、楽器によってはもともとエクステンションの取り付けが難しい場合のことは書いていない。くれぐれもご注意頂きたい。
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さて、どちらのやり方でも、エクステンション製作で最初に行うのは、弦を買う事だ。Bass ext. E string等と言って売っているエクステンション用に延長されたE線を手に入れる。

この弦を使って、指板を延長するための基準を割り出す。基準を出すだけならタコ糸でも構わないが、いずれにしても使うし、ナット部分を作成したりカポを調整するには、使用する弦の太さも必要となる。

楽器に、ext. E線を張り、端を持ってスクロール上部にあてがう。上ナット上の弦間隔が他の3弦の弦間隔と同じになるような位置を探す作業だ。従来のE線を延長すると、スクロール上のどの位置を通るのかを正確に知りたい訳である。位置が分かったらスクロール上にマークする。表板の養生や何でどうマークするとかそういう細かい事には触れない。

このマークが全ての基準となる。このマークの位置と、糸倉のほお(cheek)の位置などから、必要な材料の大きさを割り出す。筆者の場合は、テスト用の材料を使ってモックアップを製作する。本番の材料は高価なので、そうそうやり直すという訳には行かない。

2007年4月1日

Cエクステンション(Cマシン)の製作など1

5弦はネックも太いし大きいからと躊躇していても、low-Cまで弾けたら良いなと思っている方もいらっしゃると思う。 自作というのは中々難しいかもしれないが、興味をおもちの方もおられるかもしれないので、Cマシンを製作の様子を概略お話したい。

4弦のE線を延長して、low-Cまで弾けるようにする装置がCエクステンション(Cマシン)だ。
国内的にはCマシンの方が通りが良いと思うけれども、正式名称かどうか分からないし、筆者の教科書にはC-extensionと書いてあったので、ここではCエクステンション、またはエクステンションと書くことにする。

製作の内容に先だって、エクステンション種類について少し。
エクステンションには大きく分けて2タイプがある(正確な分類でないかも)。タイプライタータイプとも俗称される機械式のものと、指板を文字通りエクステンションしたタイプ。機械式はキーを押さえて音程を出し、弦を直接押さえない。指板を延長したタイプは、弦を直接指で押さえる。

指板を延長したタイプには、Eのところにカポが付いていて、開放をCにするかEにするかを変えられるのが普通だ。さらに、E以外の音程についてもカポがついているものもある。E以外の全ての半音にカポがついていると要所要所で、開放を変えられて便利なようだ。

ここでは、指板を延長したタイプのものについて筆者の製作過程を書いていこう。