2007年8月27日

ハイ・サドル

依頼を頂いて、ハイ・サドルの製作と取付をさせて頂いた。

ハイ・サドルは、high saddleとかraised saddleと呼ばれていて、文字通り高さの高いサドルの事である。筆者は言いやすいので、ハイ・サドルと言っている。サドルを高くしても、調弦が一緒なら演奏する部分の弦のテンションは代わらないが、駒が表板を押さえ付ける力(ダウンスラスト)を減らす事ができる。この様なコンセプトのサドルが、他の弦楽器にあるのかどうかは知らないが、コントラバスでは良く見かける。

ハイ・サドルの導入は、E線側とG線側の音量バランスが悪く、他に手段がない場合に有効ということだが、それ以外にも楽器によっては、表板の変形を防ぐ効果がある。しかし、全ての楽器にハイ・サドルが有効な訳ではなく、ダウンスラストを減らす意味があるかどうかを判断した上で使うことが必要のようだ。

ハイ・サドルの高さには、特に決まりがあるわけではない。良い高さをを求めるには、色々やってみるしかなく、時間のかかる作業である。形や取り付け方法も様々で、表板を傷めるリスクもある。もちろん、ハイ・サドルの場合でも、両脇に表板とのクリアランスが必要だ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ネックの角度も調整しないと駒を中心とする
張力の分散が狂いませんか?

yamaguchi さんのコメント...

教授さんコメントありがとうございます。

駒のダウンスラストは、駒を中心としてネック側の弦の張力からの寄与と、同様にテールピース側のからの寄与の合計となります。ハイ・サドルは、テールピース側からの寄与だけを減らします。おっしゃるように、上記ダウンスラストの合計に対する寄与の割合が変化することは確かだと思います。この変化が音に対してプラスならハイ・サドル導入の意味があるという事ではないでしょうか。

ネックの角度は駒の高さによるため、ネックをリセットする場合には、ダウンスラストだけでなく駒の高さに対する配慮が必要かと思います。おっしゃるとおり、駒の高さを低くしてダウンスラストを減らす事が、演奏される方のコンセプトや好みに適している場合もあると思います。