2008年9月3日

ニスの補修


ニスは、楽器を保護するために必要なだけでなく、見た目の美しさにも影響が大きい。引っかきキズや、打ち痕など木地が見えると目に付きやすくなって、なんとなくボロい感じになってしまう。歴史的価値があったり、博物館クラスのもののような特別な楽器でなければ、ニスの補修も行う。

写真の楽器では、表面に蓄積した松脂等の汚れを取り除いてから、打ち跡を埋め、色を合わせて、最後に全体にごく薄くニスをかけた。擦りへって下の層のニスが見えているようなところは、その雰囲気を残した。全体にかけたニスは、新たに塗り重ねると言うよりは、どちらかと言えばクリーニングの意味合いの方が大きいかもしれない。

楽器のニスに限らず、塗装は仕上がりの差が如実に目に見える行程である。楽器を直射日光に当ててチェックする事はしないが、夜に仕上げたと思った場所が、朝見るとやり直しになってしまうことがある。白日の元に晒すとは良く言ったもので、お天道様の評価たるや、実に厳しい。

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