2010年7月20日

サイン

楽器には製作者自身によるサインや裏書き以外にも、何か書いてある事がある。


修理した人の名前であったり、修理の日付であったり、誰かの名前であったりする訳である。 中には、メモ程度の役割の物もあるかもしれない。

書かれる場所も、バスバー、指板の裏、魂柱、テールピースの裏、駒の裏などバリエーションは豊かである。
ただ、これらの場所は遅かれ早かれ消耗して交換される場所である。さすがに楽器の箱本体に書かれている事は少ない。表板に書くのは勇気が要るだろう。

楽器の内側に、本来のラベル以外に修理者のラベルが貼られている事はある。鑑定に関して権威ある修理者のラベルなら、楽器の真贋の判断の一助となる可能性はある。

こういう何らかの印がされるのは、大抵は大きな修理の時だから、次に修理される(サインが発見される)時までかなり時間が経っていてもおかしくない。20年とか30年位とすれば、修理した工房が無くなっている場合もあるし、残っていたとしても代が変わっている可能性もある。

其々の楽器には、持主と同時に、修理してきた人の時間も積み重なっていると実感する。

修理者の中にはサインを書かない人も当然いて、それらの人々の名前は分からない場合が多い。ただ、修理そのものは残る。名前は分からなくとも時の試練を受け、後の修理者に評価される事になるだろう。

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