2010年9月2日

マジーニモデル7

表板を吊るす。

吊るすのは、タップして、音を聞きながら削るからである。音を聞きながら削る方法ばかりではないが、今回はそうする。

バーの位置には、どれだけ外側に出したくても、fの内側でなければならないという制約がある。バーがはみ出して、fから見えてしまうからだ。f孔の内側のeyeの間隔が駒のサイズと関係があると言われている理由はこの辺にある。


バスバーを削る。音の変化を聞きながら削るのは楽しい。バスバーとは大体こんな形という先入観を捨て去ることはできないが、音に従って削れば、一応それは音の形である。目に見えないものによって形が決まっていくのが面白い訳である。


バーの基本的な形が決まったら、側面を落としたり面を取ったりして仕上げていく。断面の形が、自分なりのルールに沿うように仕上げる。この楽器では、内側は何も塗らないので、木地の仕上がりがそのまま最終的な仕上がりになる。

バスバーの端は、大きく面を取る。表板の表面に向かって、なだらかになるよう面を取るのは、修理の時に貼られるパッチも同じである。これは貼り付けられたものの端の部分に力が集中するのを防ぐためである。一番上の写真で、表板の剥ぎ面に貼られたパッチが其々少しずつずらされているのも、基本的には同様の理由である。単に適当なだけの場合もあるが。

バスバーが仕上がったら、家人が「何故、何かをのみ込んだヘビみたいな形をしているのか?」と聞いてきた。「それをいうなら、星の王子様のウワバミじゃないのか?」とはぐらかしてみたものの、答えを知っているのは筆者ではなくて音である。

2 件のコメント:

りょういち さんのコメント...

 一つ一つの工程にこれほどまでに手間を掛けてもらえるなんて、このコントラバスそしてオーナーさんは幸せ者ですね!
 なぜこのバスバーは前のバスバーとは違う場所に少し角度を付けて設置されているのですか?
 毎回質問ばかりですみません。その分いつも楽しみにしています!

yamaguchi さんのコメント...

りょういちさんコメントありがとうございます。

鋭い指摘で、写真を良くご覧頂いているのだと思います。ありがとうございます。具体的なメソッドは申し上げられませんが、私の考えでは、以前のバスバーが標準的な位置ではなかったため、位置を変更しました。
バスバーは、色々付け変えて調べてみる訳にはいかないので、オリジナルの位置から変更する事には、リスクも伴います。音に影響がありますし、駒の大きさにも影響を与えます。今回のケースでは、最終的な駒の高さなども考えに入れた上で、標準的と(私が考える)位置に移動しました。この辺は、人によって色々考え方があると思います。

作業として特別な事を行っている訳ではないのですが、楽器に対する愛情だけは注いでいるつもりです。
また、ご質問がありましたらどうぞお尋ねください。