2010年10月14日

コンテムポラリー・イタリアン

ものの本*によれば、ヴァイオリンの世界では、オールドと言うのは19世紀初頭までに作られたものだそうで、それ以降のものがモダン・ヴァイオリンと言う事になっていて、作者が存命中のものは、コンテムポラリーと呼ぶようである。
コントラバスの場合は、全然事情が違うのかもしれないが、今回はこの分類にならって、コンテムポラリーのコントラバスと呼ぶ。

現状のままで、かつては素晴らしい音だったとのお話であった。問題は、今は、いまひとつ良くない事である。しかも、駒も魂柱も何もかも今付属しているもので状態が良かったのだから、パーツを交換する必要が無い訳で、難しい条件である。魂柱の位置も悪くは無い。

少し時間をかけて調べると、少なくとも三つは目に見える問題があった。
一つは、ネックと表板の接する部分が密着していない事である。表板に対する弦のテンションは、ネックと表板が接する部分と、サドルと表板が接する部分に直接かかっていた方が良いと思う。
二つ目は、駒と表板のフィットが良くない事である。G側とE側の駒の足裏の仕上がりが異なる事から、オリジナルの状態ではなく、途中で何らかの変更が加えられたのではないかと思われた。仕事のクオリティから見て、手が加えられたのはE側の足であろう。
三つ目は、アジャスターと駒の脚の部分の隙間である。これもE線側で、アジャスターのための軸穴が浅くなっていて軸が底付きし、アジャスターのディスク部分と駒の脚とが密着していない状態であった。隙間は0.1mm位だから、本当なら目視で分かるはずだが、このタイプのアジャスターは、ディスク部分の中央だけが駒に接するようになっていて、周辺はもともと浮いているように見えるので分かりにくかった。非常にクオリティの高い駒なのに、本来の能力を出していないため、何か問題がある事は感じていて、さんざん悩んだ末にようやく発見した。
どうやら、駒のE線側だけが何らかの理由で加工されたようである。

* ヴァイオリンの見方・選び方―間違った買い方をしないために (基礎編): 神田 侑晃・著, レッスンの友社

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