2011年1月10日

プレーヤとセットアップ1

真にプレーヤの立場には立つことは難しいけれども、プレーヤから見たセットアップを考えてみたい。今まで書いてきた事の繰り返しや、また違うことを書くかも知れない。ご意見があれば是非お寄せ下さい。

プレーヤとして、セットアップに関して知っておいた方が良いことは何だろうか。
単純化して言えば、楽器がより良く鳴るためのセットアップに関しては主にリペアラの領分であるように思われる。加工や調整などは結果が分かればいいのであって、具体的なやり方についてプレーヤが詳しく知っても悪くはないが、直接的に必要なことではない。それらは、いわばリペアラの内部事情である。乱暴に言ってしまえば、楽器の鳴りに関するセットアップは、リペアラと楽器の関係の中で行われるように思う。プレーヤが如何なる音を望もうとも、もともと持つ楽器の特性は変えられないからである。

一方で、セットアップには、プレーヤのスタイルや好みが強く反映される内容がある。弦高や指板の形など主に演奏のしやすさに関する事である。当然、全てのセットアップは音に影響がある。演奏のしやすさは、楽器の鳴りに大きく影響される。しかし、合理的なセットアップが許す範囲で、楽器の鳴りからある程度切り離して決められる部分については、リペアラは楽器との関係だけなく、プレーヤの好みやスタイルを知らなければ詰められない。プレーヤにとって重要なのは、コントラバスのセットアップにおいて、プレーヤのスタイルや好みが重要なのはどの部分なのかを知っておくことではないだろうか。

個別の話に入る前に、重要な前提として何よりもまずお勧めしたいのは、「標準的なセットアップを試す」ことである。リペアラによって、何が標準か差があると思うが、大体において常識的な線というものは存在すると思う。
どのレベルのプレーヤにとっても、まず最初に「標準」に近いセットアップからスタートすることは、楽器の個性をわかりやすくし、遠回りなようでも、目的のセットアップに近づく王道ではないかと思う。

4 件のコメント:

石川滋 さんのコメント...

賛成に一票!
是非とも「標準的な」セットアップというものを確立してください。これから逸脱したセットアップは、邪道といったら言い過ぎかもしれないけど、健全ではない気がします。プレイヤーの好みは確かに大事だけど、僕は楽器にとっての標準的セットアップが最も大切なことだと考えています。
今年もよろしく!

るいだ さんのコメント...

明けましておめでとうございます!
今年も益々充実したブログ・活動
を期待しております。
 私は高度なことは分かりませんが、3年程前にセットアップをお願いしたときに、楽器の各部のセットアップに関してのイメージをしっかり持たれていて、言うなれば「標準的な」を追求されているイメージによってセットアップして頂いた私の愛器はすこぶる健康、素晴らしいプレイヤビリティー、良い音色を維持しています。!
 

yamaguchi さんのコメント...

石川さん、ありがとうございます。こちらこそ今年もよろしくお願いします。

全くもっておっしゃるとおりで、この考えは、石川さんに教えて頂いた事から始まりました。楽器のセットアップについて、ほんの表面を引っ掻いただけですが、何が標準なのか考えていきたいと思います。多様なコントラバスの世界を前にすると、一つの数値で標準を代表させるのは難しいと感じます。しかし、おっしゃるように、極端でないセットアップという感覚はある訳で、それはまさしく健全とかヘルシーという言葉のイメージです。その辺にヒントがあるように思います。

今回書いた「標準」は、かなり即物的な意味合いで、手始めに、駒も中庸な位置、魂柱も中庸な位置、弦高も中庸といった事を標準と言っています。ただし、クオリティだけは中庸ではいけないのですが・・・。
今年も、迷い道くねくねしながら少しずつ進みたいと思います。いつも励ましてくださってありがとうございます。

yamaguchi さんのコメント...

るいださん明けましておめでとうございます。

楽器がいい状態を維持している一番の理由は、るいださんの日ごろの取り扱いが適切であることではないかと思います。
放っておいたままで3年もたてば、駒は反ってきても不思議ではありません。
駒が反ってくると、ストレスのある音になりますし、反応も悪くなります。駒のメンテナンスについては、ホームページにも書いているのですが、るいださんの例は、その重要性を示すお手本だと思います。

でも、たまには楽器拝見させてください。(笑)今年もよろしくお願いします。