2011年9月27日

コンポジションかもしれない

ペグに巻いた弦が滑ってしまう事がある。

弦の巻肩や弦を通す穴の形状が問題の事もあるが、今回のケースでは、どうもコンポジションが塗られているような気がする。しかも、ペグの軸全体にコンポジションが塗られているような気がする。 なんとなく、軸全体が茶色くなっていて、石鹸かロウのような感触であった。クリーニングした。

ヴァイオリンのように、摩擦で止まっているペグに対しては、コンポジションは有効である。潤滑のための成分と摩擦を増やす成分の両方が含まれていて、適度に回転し適度に止まるように調整できる(ようだ)。

しかし、コントラバスのような機械式のチューニングマシンでは、そもそもコンポジションの必要性が無いのではなかろうか。コントラバスの場合、ペグ軸の摩擦ではなく、ギア比の高いウォームギアを使う事で弦のテンションを止めている。従って、潤滑が必要になる事はあっても、摩擦を増やす必要はないように思う。ペグ軸の摩擦が増えれば、かえって滑らかな調弦が難しくなる。ペグとペグ穴の摩擦が増える事で音に何らかの影響を与えている可能性は無くも無いと思うが。
摩擦を増やす成分が含まれるコンポジションはコントラバスのチューニングマシンの調整には向かないのではないか。

2011年9月13日

弓の構造

弓の中はどうなっているだろうか。毛はどのようにして留められているのだろうか。
リンクの図中にいくつかの訂正がある。しかし良く描かれている図だと思う。

Don Reinfeld, Bow Maker / Detailed illustration of a bow (http://www.drbows.com/diagram.html)

図示されているのは、ヴァイオリンの弓だが、コントラバスのジャーマンボウでも本質は同じである。面白いのは、毛の束が2回折り曲げられてplugで固定されている事で、何度見ても何度手にしても、本当に良く考えられた仕組みだと思う。狭いスペースの中で確実に毛を固定する方法には感心するしかない。もちろんPlugを正しく作れるだけの技量は必要になる。

図を見れば、弓がいかにスペース的にギリギリの所で作られているか分かる。Tipでは、弓先が細くなるのに、plugの穴は広くなる。Frogでもplugの穴を深くしすぎればeyeletと干渉してしまう。木工としてみれば安全率は低い部類ではないか。それでも作者の配慮が行きとどいた弓では、それぞれのスペースの取り合いが考えられていて、一筋の安心感がある。毛替えのしやすさも、配慮された弓とそうでない弓では全く変わってしまう。

弓の中にも世界があり、ディティールに入っていけば無限の広がりがある。その縁に立って、その表面をひっかいているだけだと思い知らされる。