2011年10月7日

汚い楽器だからと言って雑に扱ったりはしない。しかし、綺麗な楽器にはそれなりの緊張感がある。

チューニングマシンの掘り込みの修正をした。ウォーム部分がスクロールチークに当たると、動きは悪くなる。マシン自体は木ネジで止められる。木ネジで締めると意外に強い力で締め付けられ、動きが妨げられてしまう。

 この楽器のスクロールの杢はとても綺麗で、作りも丁寧だ。ペグボックス内側も外と同様のニスで仕上げてある。マシンをつければ見えなくなる部分のニスも美しい。掘り込みの拡張は必要最小限にとどめたい。古い楽器では、時として、このような場所のニスの方が元の色を留めている事がある。

杢が美しいのは、反射が深いからではなかろうか。角度によって明暗が変化し、見るものを飽きさせない。杢が無くても木は美しいが、やはり華がある。

オリジナルのチューニングマシンに問題がなければ、通常は、なるべくオリジナルを生かしたいと思う。ただ、重要なのは、音に対する影響を考えたうえで、楽器とマシンのクオリティが一致している事ではなかろうか。必ずしも高価なものである必要はないと思うが、センスは問われると思う。オリジナルから変更された場合でも、ふさわしい物がついていると、楽器もひき立つのではないだろうか。