2012年1月19日

ネックリセット

指板が下がって弦高が高くなった時、駒を低くするのは対症療法である。駒の高さを維持するためには、ネックをリセットする事が行われる。

一見何ともなさそうだが、昔行われたネックのリセットがまずかったようである。表板とネックの間に入れられた材の方向が良くないため、材料が潰れてネックを支えきれず、リセットの意味があまりない。
この楽器は駒自体すでにかなり低くなっているうえ、駒の溝も演奏者自身の手で深く掘り込まれていた。
駒の高さは、コントラバスとは言え大体の範囲はあるけれども、 楽器の問題で、楽器に聞け、という事のようである。

良くない部分を取り除くと、その他の問題も見えてくる。やればやるほど問題が出てきそうな匂いがする。費用との兼ね合いがあるので、どこかで妥協する必要はある。今回は、前のネックリセットが想定していたと思われる高さまで戻すことにした。あまり無理が無く、それで十分3/4の駒の高さになる。

Overstandは、音に対する影響はあまりないと教えられたが、本当は影響があるのではないかと思う。サドルを高くするのと同じで、高くすればするほど、駒が表板を押える力が減る。この楽器はかなり古いし、ネックはリセットされているので、元の量は分からない。製作者は表板のアーチの高さとの兼ね合いで決めているという話も聞いた。