2012年8月19日

チューニングマシン

チューニングマシンを変える目的で、「見た目を良くしたい」というのも重要な要素ではないだろうか。

その価値や歴史においてオリジナルを尊重するほどでもなければ、交換はありうる。古い楽器でも新たにあまり良くないものがつけられている場合であれば、あまり躊躇する必要は無いのではないか。

ただし、ペグ穴を開け直す事になれば、楽器に一定の負荷はかかる。既に何度もブッシングされているような楽器の場合には、交換自体が非常に高くつく可能性がある。

この楽器は、ルブナータイプのチューニングマシンがついていた。オーナーの方のご希望で、交換する事になった。ペグの配置から必要なブッシングを行って、 以前のネジ穴も埋める。チューニングマシンのウォームの掘り込みは、埋めずにニスのリタッチのみを行った。新しいマシンのウォームの下になるので、あまり目立たない。

新しいチューニングマシンは、イギリス製でシンプルで綺麗だった。滑らかな動きのためにはウォームとギアのクリアランスは必ず必要で、 チューニングマシンの精度にも左右される。さらに、エクステンションがあるので、E線だけは少し特別扱いになった。
メインのギアが真鍮でもウォームはスチールかステンレスの事が多い。ウォームは摩耗の条件が厳しいのだろう。こうしてみると、やはり真鍮の無垢は色が良いと思う。メッキやブロンズ仕上げのように最初の色を保つことは難しいが、古くなっても良い味になる事を期待できる。