2007年11月17日

指板を修正する

楽器を弾いていれば、指板も減ってくる。ハーフポジション近辺は、使用頻度も高いので、弦の当る部分が減って溝を作ってしまうことがある。

こうなると、減った分だけ弦高が高くなり、押さえるのに余分な力が必要になる。溝の深さが0.2mmもあれば、相当に負担は増えるはずである。指板の厚みに余裕があれば、指板を削りなおして修正が可能である。

このとき掘れてしまった溝の近辺だけでなく、全体に渡って均一にキャンバー(反り)が施されるように削りなおす必要がある。掘れた近辺だけを削ると、見た目は綺麗になるが、先のハーフポジション付近の弦高は高いままなので、演奏にとってよいことは一つも無い。確かに、一部だけを削る方が圧倒的に楽なので、良くない誘惑があることは確かだ。さらに全体に渡って削る場合、当然上ナットや駒の調整が必要になることもある。掘れた部分を削るだけなら上ナットの近くだけを残せば、ナットは正しく調整されているように見えるわけである。

要は、指板全体を均一なRに仕上げる為には、技量も要るが手間がかかるということだ。場合によっては、G線側のキャンバーを浅めに、E線側を深めにというような配慮が必要な場合もあるし、黒檀は必ずしも削りやすい素材ではないのである。安く直してもらうに越した事はないが、仕事のクオリティを正当に評価する姿勢が無ければ、演奏しにくくなるだけの補修が蔓延してしまうのではないだろうか。

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