2008年5月6日

N氏の楽器4---駒


駒の状態を調べ、セットアップの修正を進めた。

弦高を調整するためのアジャスターでは、左右のアジャスターの軸が平行であることが必要であると、このブログでも触れてきた。軸が平行でなければ、アジャスターを伸ばしたときと、縮めた時で、アジャスターのディスク上のピンの間隔が変わってしまうからである。

写真は修正前の状態で、この状態では、アジャスターを伸ばした時、駒の上部の穴の間隔を狭めようとする力が働いてしまう。この時、駒の足には、夫々の間隔を広げようとする力が働く事になるが、実際に足の間隔が開かなくとも、常に駒の内部に応力が残っている状態になる。これは筆者の想像だが、この力によって、駒足の裏のテンションの分布が、足裏のフィットが悪くなった状態に近くなるのではなかろうか。

こうした事が音に与える影響は、無視できる程度と思えるかもしれないが、実際に修正してみると、小さくとも明らかな違いが有る。ナットのところでも述べたように、このような違いも積み重なれば、結局は大きな違いになって楽器の音量や反応に現れるのではなかろうか。

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