2008年5月7日

N氏の楽器5---駒(つづき)


新品の駒なら、最後に足を切り離すことでアジャスターの軸の精度を保つ事ができるが、元の駒にアジャスターをつけ直すには多少手間がかかる。

既にアジャスターがついている場合には、足は切り離された状態である。その状態で、夫々の位置関係の精度を出さなくてはならない。駒の上部と足の関係を維持する事も重要だが、左右の足の軸を一致させる事の方がさらに重要かも知れない。こちらは後で修正がきかないからである。さらに、今回は足裏の表板へのフィットもやり直し、駒と指板の位置関係も修正するうえ、同時に駒足の間隔を狭めて、バスバーとの関係も改善することもプランに含まれている。

写真では、既にアジャスターの元の穴は埋めてあり、足には、材料を足して足長になるようにしてある。もともとの駒の形のバランスは悪くなかったが、さらに少しだけ足長にする方向でプランを作成した。足を長くしすぎれば、弦と駒中央のハートが近くなりすぎて強度が不足するから、長くしすぎも当然良くないと思う。従って、駒を立てた時の弦高も、この段階で決定していなくてはならない。足裏にも材料を足して、フィットする時の削り代をかせいでいる。

この駒に関しては、駒の上部に反りがあり、それも修正しなくてはならなかった。駒に限らないかもしれないが、既存のものを生かそうとすると、新品を加工するよりも手間がかかってしまうというのは、よくある事だ。

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