2008年5月16日

N氏の楽器8---チューニングマシン


チューニングマシンからノイズが出るということで、チューニングマシンを調べた。外観からは分からなかったが、ギア部分の内側に入れられていたスチールのワッシャが原因であった。

このタイプのチューニングマシンでは、ギア部分の反対側から座金を介して軸をネジで引っ張るようになっている。しかし、このケースでは省略されていた。恐らく、ペグ穴の位置の都合上、向かい側にあるギアと干渉し、座金が入らない個所があるために省略されたのではないだろうか。干渉を無くすには、ペグ穴を開けなおすしかないからである。ともかく、ギア部分が引っ張られて、ペグボックスのcheekに押しつけられていなければ、ワッシャがフリーになり、振動でノイズを出してしまう。これを防ぐため、当初ワッシャは溝の中に接着されていたようである。時間の経過で接着が切れ、ノイズが発生したという訳である。

軸を引っ張る座金がつけられない以上、ワッシャを接着しなおすか、ノイズの出ない材質のもので作るか、何らかの対策をしなくてはならない。色々検討した結果、今回は、単にワッシャを取り除いて組みなおした。将来ペグ穴を開けなおす事もあるかもしれない。ワッシャは別にお返しし、保存していただく事にした。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

最近ふっと気が付いたのですが、独立したタイプのベースマシーンの取り付けで、シャフトが反対側のチークを貫通した物とそうでないものがありますが、あれには理由があるのでしょうか? 反対側からもネジで締めるなどの理由でなければ貫通させない方が見た目にスッキリしていると思うのですが… ちょっと古い投稿への質問ですみません。

yamaguchi さんのコメント...

sunday luthierさんコメントありがとうございます。

チークを貫通させない理由は良く分かりません。おっしゃる通り見た目の問題ではないでしょうか。チロリアンタイプのマシンの大きなプレートも、貫通穴を隠していますね。

取り付ける側の論理では、軸にテーパーがついている場合には、貫通穴の方が作業はしやすいと思います。テーパーが付いていない場合には、穴を貫通させない方が後の処理が楽かもしれません。いずれにしても、コントラバスの場合には、軸に対する穴の精度が余り高くないことも多いので、精度を要求しなければどちらも似たようなものです。結局、本当の理由は良く分かりません。

投稿した日付と内容にはあまり関係が無いので、古い投稿でも遠慮無くコメント下さい。

匿名 さんのコメント...

ご返答ありがとうございます。正直言うとチークを貫通させるのは、Luthierの技術のなさの表れかと思っていました。(なんせあの狭い糸倉の中でチークを貫通させずに道具を使って作業を進める方が素人目により大変に見えるので)でもそれ程単純でない要因が絡む場合もあるのですね。勉強になりました。