2008年6月1日

N氏の楽器13---ノイズ


一通りセットアップが終了し、一息ついた。
輸送の手配も終わり、後はハードケースに納めるだけだ・・・と思ったところが、小さなノイズが出ていることに気づいた。楽器が鳴るようになったからか、チューニングマシンのノイズが止まったからか、以前には気づかなかったノイズだ。気にしなければ無視できるような範囲の気もするが、聞こえてしまった。聞かなかったことにすると言うのも一つの策ではあるが、誠実な態度とは言えないだろう。

ノイズは、ともかくその原因を見つけるのが一仕事である。筆者の能力の問題もある。今回も例によって泣かされた。アッパーバウツのような、リブのような、裏板のような、表板のような・・・声はすれども姿は見えずである。手に豆を作りながら弦を弾き、ようやくネックの付け根付近からではないかとの結論に達した。

一旦、ネックの付け根のトリムを外し、場所をつきとめた。側板の一部が浮いていて、そこが鳴っていた。neck buttもすこし開いているようなので、膠を入れトリムを着けなおした。このトリムピースは、エボニーではなく紫檀の様であった。ニスの修正もし、これで万全と思いきや、事態はそう甘くなかった。実は原因は1箇所では無かったのである。写真右にクランプの一部が映っているように、この後、ネックの反対側の表板の上端部分の接着を行い、ようやくノイズは治まった。

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