2010年12月10日

指板が剥がれたら2

2は無いはずだったが、ネックの付け根に問題があった。

ネックとネックブロックの間の接合が緩んでいる。ネックの付け根部分だけでなく、裏板のボタンも動いている。ボタンはパフリングを境に切れていて、ネックを支える役割を果たしていなかった。

ブロックとネックの接合だけが緩んでいる場合、この部分は、弦を張ると押しつけられる場所なので、ボタンがしっかりついていさえすれば、楽器として機能するので、見ただけでは分からないと思う。
この楽器は、ブロックとネックの接合が緩んでいて、しかも、ボタンがパフリング部分で切れている訳だから、ネックが取れないのがおかしい。しかけは、楽器の内部にあった。

以前のオープンリペアの時に既にボタンは破損していたようで、この時の修理者は、補強として内側からネックをネジで固定していた。この2本のネジだけで、ネックをもたせていた事になる。木口へのネジ止めで、よく持ちこたえた。

ネックがブロックと精度良く接合され、接着がしかるべく行われている時、全体の接着面積に対するボタンの比重はそれほど大きくない。しかし、ひとたびブロックとネックの間が緩めば、ボタンは最後の砦となる。ボタンとネックの間の接着は、繊維方向が一致した木端同士の接着だから、ネック周りの接着面では最も信頼性が高い。従って、ボタンに問題がある場合、何らかの補強が必要と考える。

外から補強する方法もあるが、この楽器の場合、ボタン部分に焼き印があり、外からの補強は避けたかったのではなかろうか。内側からネジをもんでいると言う事は、オープンリペア故だと思うが、これでは、増し締めが難しい。また、同じ理由でネックを外すことも難しい。
次善の方法になるが、第一段階として、ネックの隙間から、なるべく沢山のニカワを流し込んでクランプで固定し、ブロックへの接着を行った。

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