2011年4月2日

セルフネックのコントラバス3

いくつかの方法を組み合わせて、合成系接着剤を取り除く。

 切り離されたボタンと裏板をつなぐ補強の板が入れられていたが、これも合成系接着剤で固定されていた。補強の板は、横板との接合部までそのまま続いていて、1mm程度の段差があるにもかかわらず、横板と裏板はかなり無理して張り合わされていた。

裏板がきれいになったところで、横板とネックの接合部分を修正する。セルフネックでは、横板はネック材に掘られた溝に差し込まれて固定されるが、この部分にも合成系接着剤が使われているうえ、横板の接合状態が良くない。
ボタンが外れて、ネックが引っ張られた結果、横板を固定する接着剤はクリープし、横板は中途半端に抜けた状態で、固まってしまっていた。この状態では、横板が突っ張ってネックの角度が修正できない。

最も良いのは、横板をネックからはずすしてから接着剤を取り除くことである。しかし、それでは、ネック周辺を全て分解する事になってしまう。もし、完全に分解するのであれば、現在のネックを再度使用するかどうかも含めて考えた方が良いと思うので、費用が大きく変わる。今回は横板の接着剤は取り除かず修正するだけにした。

接着剤のクリープは、大きな力が長期間かかった結果なので、常温のまま短時間に元に戻すことはできない。 熱をかけて接着剤を軟化させながら、クランプで圧締し、ネックを元に戻していった。フレッシュな接着から比べれば強度は低下していると思うが、一定の強度は保てたのではないか。合成系接着剤の多くが熱で柔らかくなる性質を利用できたことになる。

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