2007年6月1日

モード・チューニング(モード・マッチング)1

先日、ある演奏家の方とのやりとりで、「弦高を下げたり指板を延長した時に音が曇る感じがする」という内容があった。弦の張力との関連が指摘されたが、弦の張力だけでは、指板を延長した場合の説明がつかない。

こういった現象をコントロールするのに、モード・チューニング(Mode tuning for the violin maker by Carleen M. Hutchins and Duane Voskuil CAS Journal vol. 2, No. 4 (Series II), Nov. 1993, pp 5 - 9)という手法を用いるのも1つの手段であろう。リンク先を読んでいただければ、それで終わりなのだけれども、それを言ってはお終いだから、コントラバスに関連すると言われている部分について、この際少しまとめておきたい。

モード・チューニングは、人によってはモード・マッチングとも言われていて筆者もそう言っていたが、上記の文献を引用したから、当面はモード・チューニングで統一する。

楽器には、振動しやすい振動パターン(モード)があって、その中のいくつかのモードを一致させる(マッチング、チューニング)ことで、音量や楽器の反応(弾きやすさの)向上をはかるというのがモード・チューニングの基本的な考えだ。それぞれのモードには対応するピッチがある。測定した周波数ではなくて、耳に聞こえる音程のこととして話を進める。

先の論文中(と付属のチャート)で述べられている、楽器の振動モードのうち、コントラバスで着目するのは、A0, W', B0, TPである。ここでは、もっとも簡単な場合について書くので、B0とTPに絞って話をまとめたい。B0は、楽器本体の構造による振動モードの1つのピッチを示し、TPはテールピース全体の振動モードのピッチを示している。

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